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英国初EVは日本の「ナノイー」搭載

ジャガー「iペイス」でコロナ禍でもカリフォルニア気分って!? 

author: 川端 由美date: 2021/08/31

英国の伝統的な自動車メーカーであるジャガーが、車内の空気清浄の研究に力を入れていることはご存じだろうか。今年の3月に発信されたプレスリリースに「先進的な空気清浄化技術の研究において、ウイルスとバクテリアを最大97%抑制することを実証」と書かれていたのだけれど、空気の質に対して誰もが敏感になっている時期だけに、普段ならナナメ読み(ジャガーの皆さん、ごめんなさい!)してしまうプレスリリースを、じっくり読んでみたところ、なんと、我がニッポンのテクノロジーである「ナノイーX」を使用して検証されていたのだ。元エンジニアとしては、かなりの”ムネアツ”である。

なによりも、ウイルスや空気中のバクテリアを97%も抑制できるということに驚きを隠せない。しかもこのデータは、自動車メーカー独自のものではなく、世界屈指の微生物学およびウイルス学の研究所である「Perfectus Biomed Ltd」と提携し、30分サイクルの再循環モードで車両換気システムを解析するように設計された世界最先端の実験室における密閉型テストの結果なのだ。また、パナソニックが「Texcell」なる世界有数の研究機関に依頼して、新型コロナウイルスに関するテストを実施したところ、実験室内における2時間のテストの結果、99.995%以上のウイルスが抑制されたというのだ。

... ...と、まあ、効能がスゴいのはわかったけれど、やはり体験してみたいのが人間の本能だ。幸いにも、日本に上陸したジャガーとランドローバーの最新モデルに、ナノイーXの前身にあたる「ナノイー」の技術とPM2.5を除去するフィルターを搭載しているとの朗報を得た。早速、ジャガーの初の電気自動車(EV)である「iペイス」のナノイー搭載モデルを連れ出してみた。

ジャガー初のEVとして、2018年のジュネーブ・サロンで発表された「iペイス」。日本には同年9月に上陸を果たした。

電気モーターの加速はスーパー・スポーツカー並み

灼熱の都会を抜け出し、海岸線を目指す。なぜ、海岸線を目指すかというと、そこには深い理由がある。ジャガーは、英国に端を発する伝統的な高級車ブランドであると同時に、アメリカ市場で成功した歴史を持つプレミアム・ブランドでもある。筆者の勝手なイメージではあるのだが、ジャガー初のピュアEVをテストするのに、カリフォルニアの青い空の下、地球環境問題に思いを馳せたい、と考えた。...が、コロナ禍で海外に行けないだけに、気分だけでもカリフォルニアを堪能しよう、という趣向だ。

郊外に向かう幹線道路への合流で、アクセルペダルを踏み込むと、グッと力強く加速する。変速ギアでトルクをピックアップしなければならない従来のエンジン車とは異なり、理論上、電気モーターは初期のトルクが最大になる。むしろ、急発進にならないように、力を制御しているくらいなのだ。最高出力400psを生むと聞いても、いまどき、なんの驚きもないが、最大トルクは696Nmと、スーパー・スポーツカー並みだ。2250kg(パノラマルーフ装着車)と、重量級のボディにも関わらず、停車から100km/hまでをわずか4.8秒で加速する俊足ぶりだ。

前後に2基の永久磁石同期式電動モーターを搭載しており、合計で最高出力400PSと最大トルク696Nmを発揮する。シフトチェンジの必要がないJaguarDriveを搭載し、0~1万2000rpmまでシームレスな加速をする。

電気じかけゆえに、エアコンの効きも上々。「イオン」なるボタンを押すと、室内空間にある花粉やニオイ、菌やウイルスといったものを減らしてくれる。空気を見ることは難しいけれど、プリコンディショニング機能を搭載して、車両に乗る前にシステムを事前に設定することも可能にするなど、空気の質へのこだわりを体感できるような工夫がなされている。

床下に電池と電気モーターを抱え込むような設計ゆえに、全長×全幅×全高=4695×1565×1895mmのスリーサイズから想像する以上に、室内空間は広々している。2990mmというホイールベースを確保していることもあって、高速道路での直進安定性が高い。バネ上に重量物である電池を抱え込んでいることで、過日のジャガーのビッグ・セダンを思い起こさせるしっとりした乗り心地なのも嬉しい。

スポティファイを使えるサクサク動くナビゲーション

今回はお天気に恵まれたものの、悪天候での走行性能にも供えられている。アダプティブサーフェイスレスポンス(AdSR)なるAWD機構は、常に車両の状況をモニターし、電気モーターとブレーキの設定を調整し、悪天候やスリッパリーな路面での走行をサポートする。低速域でクルーズ・コントロールオールの機能を果たすサーフェイスプログレスコントロール(ASPC)や、滑りやすい路面でもスムーズな発進を可能にするロートラクションローンチ機能なども装備している。

イオンのマークが付いたボタンを押すと、ナノイーの機能がアクティベートされて、車室内の空気をクリーンに保つ。
セミ自動運転の機能も搭載している。ステアリングホイール上のボタンを押して、インパネにグリーンのマークが転倒すると、機能がアクティベートされる。

もちろん、最新のコネクテッドにも対応している。ナビゲーション・システムの使い勝手は、ほぼスマホと同じだ。ピンチやズームで操作できることに加えて、お気に入りの場所の保存を保存したりもできる。アンドロイド/アップルのスマホをUSBケーブルで繋げば、音楽プレイヤーやスケジュール管理などの機能を車載のタッチスクリーンから安全に操作することもできる。さらに、スポティファイなどのサードパーティー製アプリも車載で利用できる。

最新のコネクテッド・システムを搭載しており、お気に入りのアプリをダウンロードしたり、車載スクリーンでスマホのアプリを操作できる。万が一、車両が盗難された場合は、追跡機能がついており、位置情報を追跡センターに連絡するといった機能も搭載されている。
コーナリングの際に内側のタイヤにブレーキをかけるトルクベクタリングバイブレーキ機構を搭載しており、旋回力を向上している。アダプティブダイナミクスでは、クルマの挙動を1秒間に最大500回もモニターし、加減速、操舵、スロットル開度、ブレーキ操作などを分析し、電子制御ダンパーによって足回りの設定を調整する。

ひとしきり、ドライブした後、クルマを止めてぐるりと眺めてみる。グラスエリアが狭く、プレスラインが効いたエクステリアデザインのおかげで、グッとスポーティに見える。セダン風の外観ではあるが、EVならではの低床設計に加えて、テスト車ではパノラマルーフを搭載していたこともあって、室内は意外なほど開放感に溢れている。カタログ表記によれば、1回の充電で走れる距離は約480kmとなっているが、真夏日にエアコンをかけて走行した感覚では、実際の走行距離は300〜350km程度だろう。大きな道沿いには急速充電が設置される場所も増えているし、40分で80%までの充電が可能であることを鑑みると、ちょっとした遠出でもほぼ問題ないだろう。

気になる価格は1183万円と、高級車ブランドならではの設定ではあるが、ニッポンのテクノロジーによって生み出される質の高い空気を英国の高級車の中で味わうという稀有な体験ができることを評価したい。


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ジャーナリスト/戦略イノベーション・スペシャリスト
川端 由美

工学修士。住友電工にてエンジニアとして務めた後、自動車専門誌『NAVI』の編集記者に転身。『カーグラフィック』編集部を経て、ジャーナリストとして独立。自動車を中心に、新技術と環境問題を中心に取材活動を行なう。海外のモーターショーや学会を積極的に取材する国際派でもある。戦略コンサル・ファーム勤務後、戦略イノベーション・スペシャリストとして、再び、独立。現在は、ジャーナリストとのパラレル・キャリア。近著に、『日本車は生き残れるか』講談社刊がある。
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