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【The Youth Voice vol.1】

独自のスタイルを楽しむ美容師・福島志音が体現する、セルフラブが生む人生のおもしろみ

author: 那須凪瑳date: 2023/04/01

「自己分析シート」、「適職診断」、その他諸々。世の中は、“自分”を知るためのツールで溢れかえっている。10代でやりたい事を見つける人もいれば、遅咲きの人もいるし、某人気作家は「30歳成人説」を唱える。しかし、そんな全員に共通するのはきっと、“どうにかして自分らしく生きたい”ということだろう。「Beyond magazine」では、「The Youth Voice」と題して、みんなの“らしさ”を探る連載をスタート。既存のツールなんかじゃ知り得ない、自分らしさを見つけるための数々のヒントがここに。

Q1. やりたいこと、どうやって見つけた?

──まず簡単なプロフィールを教えてくれますか?

福島志音、25歳。表参道にあるヘアサロン「LAND(ランド)」で美容師やってます。

福島 志音|Shion Fukushima
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──早速だけど、なぜ美容師になったのか教えてくれますか?

美容師になることは、小学生の時にはもう決めていました。当時通っていた美容室の美容師さんが、絵に描いたようなイケメンでかっこよくて。あとは、昔から人の髪の毛を見るのが好きだったので、本当にそれくらいの気持ちで。

──何か劇的なきっかけがあったわけではない?

うーん、他にすごく憧れた美容師さんがいたとかでもなかったです。でも美容室から帰るときは毎回ハッピーな気持ちで、美容室じゃないと味わえない高揚感があったので、その感じは特別でした。

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──自分のやりたい事を見つけるに当たって明確な理由を求める人もいるけど、自然な流れだったんですね。洋服は昔から好きですか?

はい。兄弟の影響で昔から好きでした。こっち(東京)に出てきてから、好きな服屋に行きやすくなったり、服が好きな友達が増えたりして、どんどんのめり込んでいきましたね。

──では、好きなアパレルショップはありますか?

新宿にある「THE FOUR-EYED(ザ フォーアイド)」っていうお店と、千駄ヶ谷にある「ZSC(ゼンソース クロージング)」に、美容専門学校の時からずっとお世話になっています。そのお店のオーナーさんたちとの出会いで、洋服の好みとか、考え方が変わりました。

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写真提供:福島志音

──福島さんは色々なファッションテイストを楽しんでいるけど、好きな年代はありますか?

いい意味でも悪い意味でも、広く浅く好きというか。朝起きた時、日によって自分の気分が全然違うので、90年代っぽい雰囲気が好きな日もあれば、80年代っぽい服を着たい気分の日もあるみたいな。なので、凝り固まらずに、いまだに自分のスタイルをアップデートできるように考えていますね。

Q2. 自分らしさと周囲の目と。他人の目は気にならない?

──では、福島さんにとって「ファッション」はどんな存在ですか?

自己表現できるツールですかね。自分の好きなものとかを。あとコミュニケーションツールにもなっている気がして、ファッションを入り口にして出会う人も多いです。

──好きなものが同じだと、打ち解けやすいですよね。美容業界で最近流行っているヘアスタイルだったり、雰囲気だったりってありますか?

美容業界で言うと、ナチュラルなヘアスタイルが増えた気がします。僕の周りの子でも、昔派手な髪型や服装をしていた子が、今はナチュラル寄りになっていたりとか。

──福島さんの作るヘアスタイルは流行にとらわれない、独創的な印象を受けるけど、意識していることはありますか?

僕のお客さんたちは自分のやりたい事をやって、楽しんでいる人たちばかりなので、自分も少しでも刺激を与えられる存在でいたいって思っています。なので、例えそれがお金にならなかったとしても、自分のスタイルを貫いて、本当に良いと思えるヘアスタイルを作ることを優先していますね。

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写真提供:福島志音

──でも、売上のこととかを考えると、流行に合わせないのは不安になりませんか?

お金は大事だけど、やりたくないことをやってお金をもらっても、あまり気持ち的に充実しないというか……。自分のやりたい事をやって、それがお金に結びついたらハッピーだし、その方が自分の性格にあっている気がします。それに、やりたい事をやり続けられるから美容師になったのもあるので、迎合してしまったら美容師になった意味がないんです。

──あくまで、自分に正直であることを優先しているんですね。

それに、僕のやっていることに共感して髪を切りに来てくれる方も増えていて、売上も上がっています。着実に前に進んでいるって実感していますね。

──そうなんですね。ちなみに、影響を受けている同世代の子とかっていますか?

JIAN YE(ジェンイェ)ってブランドをやっている友達がいて、その子はゲーム作品とかからインスピレーションを得て、洋服のデザインに落とし込んでいて、すごく面白いなって思います。それがきっかけで、僕も「アニメのキャラクターの髪型ってかわいいものが多いな」って気付けたりとか。違う職業の子と話すと、新しい発見が得られて楽しいです。

Q3. 自分らしさを保持するには? 普段どんなことを大切にしてる?

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──では、福島さんが自分のやりたい事をやり続けるために、大切にしている考え方ってありますか?

うーん……。自分のことを大切にする。(照れながら)

──自分のことを深く知るのは大切ですよね。

はい。やりたい事を見つけられたのは本当にたまたまだし、ラッキーだなと思っています。だからこそ、自分のやりたい事に正直でいたいです。

──じゃあ、やりたくない事をしてしまったり、自分の気持ちに嘘をついてしまったりすることはないですか?

ちょっと矛盾しているけど、ときには妥協することもあります。例えば、もっと多くの人に僕の存在を知ってもらうためのことだったり。それが目標のために必要なことだったら、自分の気持ちと少しずれていてもやりますね。

──目標というと?

僕は最終的に、自分のお店を持つことを目標にしています。ここ(LAND)のオーナーみたいに、好きな空間で、好きなスタッフと働いて、家庭も大切にする。そんな風になりたいです。

──素敵ですね。では最後に、福島さんのビジョンを教えてください。

今後も自分の好きなスタイルを作り続けていきたいです。それと、偉そうなことは言えないけど、美容師も発信者ではあると思うので “自分の好きなスタイル”を作る美容師さんがもっと増えたらいいなって思います。そうすれば、いろんな髪型をしている子たちが街に増えて、面白いんじゃないかなって。これからもそんな感じで、自分のやりたい事を楽しんでいきたいです。

Movie:Gen Sakai

「LAND」
東京都港区南青山3-13-9 青山パティオ2F
表参道駅 徒歩3分
公式サイト:https://land-tokyo.jp/

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Interview&Text:那須凪瑳
Photo:Yanni

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Beyond magazine編集者・ライター
那須凪瑳

音楽メディア会社で働いた後、フリーランスに転身。現在はカルチャーメディアを中心に執筆、企画、編集も。音楽をはじめとする「文化」が社会に与える影響に興味を持ち、日々その可能性を探究中。
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