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Interview

ファッション好き20代女子が潜入

アジア拠点が横浜に? 「グレゴリー」の新デザインセンターに行ってみた

author: 松井 直之date: 2024/01/27

ティアドロップ型のデイパックが有名な「グレゴリー」。1977年にアメリカで誕生したアウトドアバッグの老舗ブランドですが、日本ではファッションアイテムとしてもお馴染み。今回、そんなグレゴリーのデザインセンター「グレゴリーアジア」が横浜に移転したということで、ファッション好きのパティシエ、越川萌音さんと一緒に潜入してきました。

横浜にできたグレゴリーアジアって?

2023年6月に香港から横浜へ移転してきた「グレゴリーアジア」。グレゴリーの本社はアメリカにありますが、日本を含めたアジア地域でのビジネスを束ねているのがグレゴリーアジアです。営業推進はもちろん、デイパックをはじめとするライフスタイル製品の企画・開発を行っているデザインセンターとしての機能も担っています。

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 グレゴリーアジア デザイナーのダミアンさん(左)とグレゴリー ブランドディレクター兼プロダクトディレクターの中島健次郎さん(右)

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グレゴリーアジア ジェネラルマネージャーのマグナス ネルヴェさん

実は、グレゴリーにとって日本はアジア最大の市場で、その売上は7割を占めるほど。日本の消費者とデザイナーの距離を縮め、開発のスピードアップを図るため、この度横浜に移転してきたというわけです。

グレゴリーアジアに一緒に潜入してくれたのはファッション好きでパティシエとして活動している越川萌音さん(23)。古着やメンズっぽい洋服が好きで、グレゴリーについては「もちろん知っています。お姉ちゃんも普段使いのバックパックを持ってました」と、接点も多そうな様子。

早速ショールームに移動し、グレゴリーの歴史やこだわりについて学んでもらいました。

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丈夫で壊れない。歴史的名品「デイパック」

ショールームでまず目を引いたのが、壁一面に並べられた「デイパック」のアーカイブたち。70年代のファーストモデルから懐かしの茶タグ、筆者が高校時代に愛用していたモデルまで、ずらりと並んでいます。日本のグレゴリーを知り尽くしているサムソナイト·ジャパン株式会社グレゴリー事業部の中島健次郎さんに解説してもらいました。

中島 グレゴリーというと、この「デイパック」がメジャーです。1970年代はこれが日帰りのハイキング用バッグでした。その後、形は大きく変わらず、素材や技術が進化して今でもアイコン的な存在です。

左が1970年代のファーストモデル。右はビンテージ市場でも人気の80年代モデルで通称「茶タグ」

萌音 このバッグ、お姉ちゃんが持っていました! 街で使うイメージでしたけど、もとは日帰りのハイキング用だったんですね。具体的にはどの辺が進化してるんですか?

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中島 使い勝手の部分ですと、ウエストベルトを収納できるポケットが付いたり、内側にラップトップ用のスリーブや小物の収納に便利なメッシュポケットが追加されています。あと、実は容量が少しずつ大きくなっていて、ファーストモデルは20L、その後22Lになって、現行は26Lになっているんです。なんで大きくなっているか確認したんですけど、結局、理由はわかっていません(笑)。

萌音 デザインも、ジッパーの高さとか角度が微妙に変わっていますね。今の方が緩やか。海外の映画で出てくるような色味もかわいいですね。

中島 そのモデルが90年代に日本のストリートファッションで流行ったんです。アメリカ製で、作りもとにかく丈夫でした。素材も縫製もパーツも、クオリティの高いものを使っているので20年経っても普段使いできますよ。

萌音 いまの若い子たちってアウトドアのものと普段のものを合わせることが多いので、カラーが派手なバッグは可愛いと思います!

中島 いまでも日本で一番売れているモデルです。コラボや別注モデルも人気ですよ。

グレゴリーが発案したサイズフィッティング

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続いて案内してもらったのが、登山用のバックパックを展開しているテクニカル製品群。ブランドの真骨頂といえるラインです。

中島 登山用のバックパックを運ぶポイントは2つ。まずは荷物の量で容量を決めます。次に決めるのがサイズ。バックパックは靴と一緒でサイズがあるんです。

あ、そのバッグはメンズですね。

萌音 え、サイズがあるんですか?

中島 はい。女性用は背面のサイズが小さいんです。男性とは骨格も違うし、バストもあるので体の形に合わせたカーブになっていたり、腰回りのベルトの形状も違います。靴も女性用と男性用に分かれていて、用途によっていろいろなモデルがありますよね。バックパックもそれと一緒。登山やハイキング、トレイルランニングなど、用途ごとに細かく別れているんです。

萌音 なるほど、靴に例えるとわかりやすいですね。そう言われると、サイズがあって当然と思えます。

中島 バックパックにサイズフィッティングという考え方を持ち込んだのがグレゴリーなんです。いまでは各メーカー当たり前ですけど、グレゴリーがそういうコンセプトを最初に打ち出したんです。

萌音 先駆者なんですね。ちなみに自分のサイズはどうやってわかるんですか? 身長? 

中島 背面長という、腰骨の一番上から第七頚椎(首を曲げたときに出っ張る骨)の長さで選びます。背負ってみますか? これは33Lの容量で、夏に富士山に登るのにちょうどいいサイズですね。

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萌音 おお、思っていたより軽いですね! 見た目がごついからもっと重いと思いました。すごい、感動。

中島 バッグ自体はそんなに軽くないんです。でも、カバンの重さが肩と腰で分散されているので体感が軽いんですよ。

萌音 いままでは肩だけで背負ってました。腰にベルトを巻くだけでめっちゃ楽ですね。

中島 革靴で山登りしたら足が痛くなるのと一緒で、快適に登山を楽しもうと思ったら専用のバッグがいいですよ。

山の技術が街にも生かされる

グレゴリーのテクニカル製品で培われた技術やテクノロジーは、ライフスタイル製品にもフィードバックされます。例えば登山用バックパックの最高峰モデルに搭載されている背面パネル。これを街用のバッグに採用したところ、ヒットしているそうです。

中島 「バルトロ」という最高峰の登山用バックパックがあるんですけど、この背面についている新素材がアウトドア業界で評判になりました。

「バルトロ」の背面パネル

中島 通気性の向上と軽量化のために肉抜きしている素材で、見た目はスポンジっぽいですが、3Dのメッシュ構造なので体積の1割しか素材がありません。つまり残りは空気なので、とにかく蒸れないのが特徴です。

これを「ルーヌ」というライフスタイル製品に反映したところ好評をいただいています。

萌音 そんなにすごい素材を街用に使っているなんて贅沢ですね。夏でも背中が蒸れないのは嬉しい。

中島 昔はアウトドアって言うと日常と非日常の切り分けが明確でしたけど、いまはボーダレスになってクロスオーバーしています。グレゴリーとしても、玄関を出たらすべてがアウトドアという考え方。荷物を快適に収納して、快適に移動できるための道具を作っているので、山でも街でも使ってほしいですね。

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萌音 ファッションとしてグレゴリーは知っていましたけど、アウトドアでここまで本気のブランドとは恥ずかしながら知りませんでした。特に登山用バックパックの背負いやすさは格別でした。今日はありがとうございました!

中島 せっかくお洒落しても、荷物が重くて肩が痛いとかは嫌ですもんね。デザインの好みは人それぞれですが、快適さ、機能性でいったらグレゴリーに敵うブランドはありませんよ。

新生グレゴリーアジアの製品は2025年にお披露目

今回訪れた新生グレゴリーアジアは始動してまだ8ヶ月。商品開発のスケジュールを考えると、ここで生まれたものが製品化されるのは1年~1年半後になるそうです。

「コロナ禍もあり、ここ数年のライフスタイル製品は既存モデルのアップデートが中心でした」と語るのはグレゴリーアジア ジェネラルマネージャーのマグナスさん。

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コロナが落ち着き始めた2023年になり、ようやく新製品の開発に注力することができるようになったそうです。

「横浜に来てからはライフスタイル製品の開発にも注力しています。ここ半年で作ったものは2025年1月に発売予定。新しいものや新しいカテゴリも考えているので、ぜひ楽しみにしてください」

日本のスタッフも常駐する新オフィスではコミュニケーションも活発。バッグ専業ブランドとして培ったDNAはそのままに、日本のトレンドやニーズに応えた新しい製品の登場が今から待ち遠しいです。

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Beyondディレクター・アウトドアライター
松井 直之

出版社で10年、IT企業で10年の編集職を経て2017年に独立。趣味はキャンプ。現在はアウトドア関連の企画・取材・執筆から、Webメディアのプロデュースやコンサルティング、広告制作まで、編集スキルを軸に幅広く活動中。
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