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JR山手線「巣鴨」駅あたり

木工作家・宮舘大とクリエイティブさんぽ

author: 宮舘大date: 2025/03/15

職業の数だけ“つい目がいく”光景あり。

「クリエイティブさんぽ」は、クリエイターや職人、研究者など、さまざまな専門分野を持つ人が好きなエリアを散策し、独自の視点で気になった場所を紹介してもらう連載企画。読んだ後にちょっとだけ視野が広がるかもしれない、未知の仕事への理解が深まるかもしれない、そんなレポートをお楽しみあれ。

6回目にさんぽしてくれたのは、デコイ(鴨の置物)を中心に手がける木工作家の宮舘大さん。

宮舘 大

1998年生まれ。セレクトショップのスタッフやバリスタ、アパレルブランドのデザイナーなどを経て木工作家に。デコイを中心に手がけるブランド「CALM WARBLE DECOYS」を立ち上げ、徳島県を拠点に制作活動を行なっている。 

Instagram:@ calmwarbledecoys

背伸びして巣鴨。趣ある木工と鴨(?)をウォッチング

木工作家の宮舘大です。普段は徳島で制作をしています。鴨をモチーフとした作品を作ることが多いため、今回は散歩するエリアを「巣鴨」に選びました。

東京には以前5年ほど住んでいましたが、巣鴨に降りたのは記憶でも1回程度でほとんど馴染みは無く、さんぽを理由に電車に乗ってどこかへ向かう優雅な時間の使い方は、“来たるべき春の休日の過ごし方”の勧めとして多くの人に提案したいとこの場をお借りして記しておきます。

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JR巣鴨駅の改札を抜けて徒歩数分、「巣鴨地蔵通商店街」に入ってすぐ、喫茶店の看板に目が留まる。内側に弧を描いた板に彫られた“香り高い珈琲をどうぞ”の文字。まるで工藝品の雰囲気が漂ういわば作品のような看板は、我が我がと店名を前面に出さず、ホスピタリティを入店前から感じる。これぞ名店の証。

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商店街をそのまま進むと一際目を引く大きなこけし。紙と染料の質感がなんとも優しくて素敵で、思わずアップで撮影するとこけしの良さが逆に伝わらない一枚に。

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こけしのすぐ横の路上にジャンルを問わず並ぶ100円均一の置物たち。消費税という概念が存在しない上、多国籍的ラインナップに、新たなダイバーシティをここ巣鴨に感じる。

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情報量の多い商店街を抜けて大通りへ。誇張を遥かに超えてトラの写真を添えられたなでしこ(犬)はもはや吠える覇気さえ感じなかったものの、人は見た目によらないという表現がある通り、犬にも同じことが言えそうで撮影も少し距離をとらせて頂いた。

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マンションの植栽。松からヤシの木のようなものまで。やはりこちらもジャンルレス。御高齢の方が多い街というイメージ=凝り固まった考えの人が多いというステレオタイプの発想が過った自分が情けない。

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流石にあってくれて安心した鴨をモチーフとしたラーメン屋さんのロゴ。あえて言うまでもないが、鴨ラーメンである。

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以前、北米に少し住んでいたことがあるのだが、まさか巣鴨でその時見たゴミ箱に思いを馳せるとは思わなかった。でもやはりサイズは少し小さめな日本規格。家を一軒ずつ回る非効率的そうなゴミ回収システムの内側にいる方々へ、改めて敬意を表したい。

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先ほどの商店街から駅を挟んで反対側、「六義園」なる庭園内の休憩所。こけしに続き、紙から透ける灯りにほっこり。巣鴨散歩のおすすめ休憩スポット。

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こちらも園内休憩用ベンチ(×7)。傷んだら交換しているのか、はたまた初めから違う材であったのか。一つひとつ風合いが異なる木材に、改めて木の興に敬服。

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苦しくも巣鴨で鴨を眺める趣深い散歩の夢は叶わず、鳩が群がる中に数匹いたむくどりを代わりに添えて。

圧倒的にお歳を召した方向けのサービスが多い巣鴨エリアではありましたが、あえて少し背伸びをして大人の散歩がしてみたいというそこのあなた。お饅頭片手に商店街を練り歩くのも悪くないと思います。若くして一度、散策できて良かった巣鴨。貴重な体験をさせて頂いたことに感謝して、今回の巣鴨さんぽを閉めさせて頂きます。

Text:宮舘大
Edit:山梨幸輝


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宮舘大

1998年生まれ。セレクトショップのスタッフやバリスタ、アパレルブランドのデザイナーなどを経て木工作家に。デコイ(鴨の置物)を中心に手がけるブランド「CALM WARBLE DECOYS」を立ち上げ、徳島県を拠点に制作活動を行なっている。
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