小さな毎日を自分で祝福したいときに訪れるお店。
最初は、建物の3階にあるtwililightという本屋さんを訪れようと迷っていたら、2階にあるnicolasに出会った。白くて、少し暗くて、全然ジャンルの違う知らない面白そうな本がたくさんあって、クラシックなカフェ。迷い込んだら大人な雰囲気が素敵でちょっと緊張した。
でも、少し落ち着くと「いつでもいていいよ」と肯定してもらえるような、おおらかな空気があってすっかり虜になった。

階段を上って2階へ!
私はいつもコーヒーとイートンメスをいただくのだけど、今日ははじめてお料理もいただいた。お料理をいただくなら、甘いものにはコーヒーだけど食事にはワインかお茶かなぁと思ってお茶にしてみた。

「シャンパンパーティー(ホット)」。名前がよすぎて、私はダージリンやアールグレイが好きなのだけど思わず頼んだ。間違いなくパーティーで、ワルツみたいな感じ。
注ぐとほわほわした湯気が上がって、鼻の中をパチパチシャインマスカットとお花の華やかな香りが叩いてくれる。お砂糖とかの甘味がないから食事とも合うし、華やかだけど刺激が少ない。大正解! 単品で注文して本を読むのにもぴったりかも。

食事は「信濃地鶏もも肉スモークと白桃のスパゲッティ」。白桃がスパゲッティに合うなんて! 食べる前はどんな感じになるか全然想像がつかなかったのだけど、スモークされた香ばしさと白桃の優しい甘味とバターのコクとチーズのまろやかさ、バジルでサッパリでまさに甘じょっぱ。


こんな仲間割れしそうなのにしないんだとびっくりしたし、白桃の甘さにもびっくりした。こんなに甘いんだ。たぶん白桃が少し溶け出ていて、お皿の底に溜まったソースがとろあまじょっぱで本当に美味しかった。とろとろ……。
あと、鶏ももがスモークされたことによってベーコンのような香ばしさがあって、あと信濃地鶏特有の弾力感がベストマッチだった。時々現れるトレビスのしなシャキ感もタイプ。いまはもう時期が終わってしまったのだけど、もし来年また現れてくれたら食べに行きたい。

そして私の心の友達、イートンメス!
私がはじめていただいたのは「いちごのイートンメス」で、いちごの甘酸っぱさとシュワシュワ溶けてくる甘いメレンゲ、ヨーグルトみたいなサッパリとしたジェラートにクリーム。少しずつスプーンにすくって口に同時にぜんぶ入れたい。それぞれが完成してるのに、どうしてもぜんぶ同時に入れたくなる。
ちょっと気が張っていた時期だったから、食べた時にどうしようもなく泣きそうになるくらい美味しかった。幸せだなあって思ったし、自分のこと頑張ったねって素直に思える大きな器。小さなデザートなのに。それ以来、ちょっと嬉しいこととか、トゲトゲした時とか、おいしいものを一緒に大事な人と食べたい時とか、なにか起こると訪れるようになった。

イートンメスは、フルーツ、メレンゲ、クリーム、ジェラートを合わせたデザート。時期によってフルーツが変わるのだけど、私が今回いただいたのは「黒イチジクのイートンメス」。もともとイートンメスは、いちごの時期限定のメニューだったのだけど、ファンが多くていちご以外の時期も食べたい! という要望から季節ごとに果物をセレクトして通年で出してくださっているそう。フルーツ以外の部分は甘味があるから酸味のあるフルーツを選んでいるのだとか。
黒イチジクの爽やかで甘いプチプチ感とクリームたちは相性が良くて、イチゴよりもフレッシュなイートンメスだった。これも、大好きだ……。来年また会おう、黒イチジクのイートンメスさん。



nicolasにはたくさんの種類の本があって、店主さんに聞いてみたところサジェストされないものに出会える場所を作りたいなとご自身の経験からセレクトして置かれているのだそう。お店にある椅子や机などのインテリアは奥様が、音楽も一つひとつ丁寧にお気に入りが置かれている。ご夫婦で長い間かけて作ってこられたあたたかい場所だ。
簡単に完成形ができてしまう今の時代に、自分の好きなものに出会うということができるあたたかい稀有な場所だし、そんな場所を大切にしたいなと思った。なにかを選ぶのはとっても勇気のいることだけど、それぞれが自分の倫理に繋がっていくから、時間がかかっても好きなものに出会って手に取っていきたいなと改めて思えた。
冬の澄んだ空気とぴったりのお店なのでみなさまぜひ訪れてみてください。

nicolasさん、ごちそうさまでした!

nicolas
住所:東京都世田谷区太子堂4-28-10 鈴木ビル2F
電話:03-6804-0425
営業時間:17:00〜24:00
定休日:火曜日・第3水曜日
Instagram:@cafenicolas2011











