普段の日常を離れて、ちょっと一息つきたい。でも、新幹線や飛行機での遠出って「せっかく来たのだから」とついつい予定を詰め込みすぎて、かえって疲れちゃうこともありますよね。
旅行はしたいけど、無理はしたくない。そんな“ちょっとお疲れ気味”なときにぴったりなのが、東京の西側、多摩エリアでの一泊二日旅行です。都心から車を1時間半ほど走らせれば、そこには美しい自然が広がっています。
今回は、東京で服づくりをする松葉萌々子さんと、大阪でファッションブランドを運営する長谷川傑さんカップルと一緒に週末旅行へ。ふだん忙しく働く2人が多摩で“泊まる”魅力を味わいます。
今回訪れた“泊まる”スポット
📍THEATER 1(檜原)
📍Satologue(奥多摩)
📍JIKON SAUNA TOKYO(青梅)
📍SORANO HOTEL(立川)
1日1組限定。大自然の中にある泊まれる映画館「THEATER 1」(檜原)
松葉:お互い自営業だから、休みも仕事もぜんぶ自分で決められる。よく言えば、“一生休み”だけど、悪く言えば、“一生仕事”。だから月に1回くらいは、都会から離れてゆっくりしたいよね。
長谷川:うん。最近もちょっと忙しかったから、自然を求めてる。今日はすごく楽しみ。

そんな“ちょっとお疲れ気味”な2人とまずやってきたのは、多摩地区の西部にある檜原村。自然の中を車でぐんぐん進んだ先に、一軒の家がポツンと姿を現しました。ここは、標高600m・5000坪の森の中に佇む宿泊施設「THEATER 1」です。
目の前に広がる森、そしてうっすらと前を横切る雲を前に、「え~! 大自然すぎる!!」と興奮気味の2人。

客室には100型4Kシアターがあり、映画と自然の融合を楽しめるこの施設は、まさに“泊まれる映画館”。1日1組限定のため、人工のものが何一つ見えないこの景色を独り占めできちゃいます。

2人はとりあえず、部屋に入ってスクリーンの前に着席。
長谷川:このクッション、めっちゃいいな。ふかふかで映画観るのに最適すぎる。
松葉: 何観る? 本当に私たち2人しかいないから、ホラー観るのは怖すぎるね。ディズニーとか楽しいのが観たい!
長谷川:こんな自然を真横に映画観るなんて贅沢だ~。
松葉:ここでゲームするのも楽しそう!
長谷川:どこでもゲームしたがるな(笑)。

客室の外には、テントサウナと水風呂、露天薪風呂まである豪華ぶり。「できるだけ自然に近いもので」というこだわりから、サウナもお風呂も薪で温め、水は湧水を使用しています。

何よりロマンチックなのは、夜の景色なのだそう。湧水を汲んできた露天薪風呂に入りながら眺める真っ暗な森と満天の星空は、なんとも言えない神秘的な空気を漂わせます。
「THEATER 1」のある檜原村には、東京都で唯一「日本の滝百選」に選定されている「払沢(ほっさわ)の滝」や、通称“天空の古民家”と呼ばれる「旧小林家住宅」など、自然を楽しむスポットがたくさん。
檜原村の自然に包まれて身も心も休まったら、自ずとお腹も空いてきます。
「THEATER 1」は、分厚いお肉をじっくり焼くのに向いているガスグリルを完備。自分たちで食材を持ち込むこともできますが、宿のスタッフさんに頼んでバーベキューセットを注文することもできます。

バーベキューセットには、東京都産の高級ブランド黒毛和牛の「秋川牛」、檜原村産のわさびや採れたての野菜など「土地ならではのもの」がたっぷり。気持ちのいい大自然の中で、お腹も満たされます。
「THEATER 1」での過ごし方に正解はありません。映画に没頭するのはもちろん、大きな声で歌っても、楽器を弾いたっていい。人目を気にせず、時間も気にせず、思いっきり楽しんだもん勝ちです。
2人も「絶対また来る!」とご満悦の様子でした。

THEATER 1
住所:東京都西多摩郡檜原村(予約完了時に住所詳細をお知らせ)
アクセス:JR五日市線「武蔵五日市」駅から車で約30分
営業時間:チェックイン 15:00〜20:00/チェックアウト 11:00
定休日:なし
宿泊可能人数:6人(1日1組限定)
Instagram:
@theateronetokyo
公式サイト:https://theater1.tokyo/
奥多摩町らしい食や暮らしを存分に味わえる「Satologue」(奥多摩)
「THEATER 1」の名残惜しさを残しつつも、次にやって来たのは青梅線の鳩ノ巣駅から車で5分ほどのところにある「Satologue」です。
「Satologue」で過ごすのは、里山の暮らしに深く入り込む1日。最寄りの無人駅である鳩ノ巣駅に到着したら、地域住民の方がお迎えに来てくれます。おしゃべりしながら聞こえてくるのは、川の音。
受付の扉を開けると、やさしい木の香りがふわっと広がります。

木材がふんだんに使われた建物
松葉:めちゃくちゃ木のいい香り!
長谷川:室内でも窓を開ければ自然の音が聞こえてくるし、空気が気持ちいい~!
目の前に多摩川が流れている立地を生かし、1階のラウンジ、2階のレストランのどちらからも、大きな窓ガラス越しに自然を眺めることができます

眺めの良い2階のレストラン「時帰路」(TOKIRO)
15時になったら早速チェックイン。客室の天井はアーチ状にカーブし、まるで繭に包み込まれるような安心感。ベッドもソファも、ベランダの椅子も外が見えるように設置されていて、室内でもいつでも自然を感じられます。

ひと息ついたら16時からは、シェフの案内のもとお庭散歩にお出かけ。
「Satologue」の庭は、かつて里の養魚場として使われていた場所。ここにはシェフ自らがオクラやトマト、ナスなど、さまざまな無農薬野菜を育てる自家農園と、さまざまな植物や生物に出合えるビオトープ、きれいな水が必要とされるわさび田があります。

手積みで作られたワサビ田

シェフと一緒に散歩をしながら収穫し、その場でつまみ食いすることもあれば、その日の夕飯にお料理として出していただくことも。
「トマトかわいい~!」「アメンボがいる!」と、庭での発見を楽しむ2人。宿泊できるのは1日最大4組のため、この庭で夜に行われる焚き火に参加したり、ただぼーっと座って自然の音を聞いたり、静かな時間を過ごすことができます。

気になるお食事は、2階のレストラン「時帰路(TOKIRO)」でいただけます。地域で有名な東京和牛やヤマメなどをメインにしつつも、庭で収穫された食材や山菜など、旬をふんだんに盛り込んだお料理。その季節、その時ならではの食事を楽しめます。
レストラン「時帰路(TOKIRO)」の朝食とディナー
食事の前後でサウナを楽しんだり、夜は星空を眺めたり。部屋のテラスでぼーっと自然の音を聞いたり、読書に浸るのも良さそう。翌日は、電動アシスト自転車や電動トゥクトゥクに乗って、風情のある「奥多摩むかし道」や「奥多摩湖」に足を運ぶのも楽しそうです。
地域の方、自然、そしてそこを訪れる奥多摩の生き物や植物たちが出迎えてくれるこの場所は、昔から続いてきた里山の暮らしの温かさを私たちに伝えてくれます。

Satologue
住所:東京都西多摩郡奥多摩町棚澤1
アクセス:JR青梅線「古里」駅徒歩約15分/JR 青梅線「鳩ノ巣」駅徒歩約20分(14:30頃に鳩ノ巣駅から送迎あり
)
営業時間:チェックイン 15:00/チェックアウト 11:00
定休日:火曜・水曜 (土日祝日の場合は翌日)
Instagram:
@satologue
公式サイト:https://satologue.com/
古民家リノベのこだわりサウナで整う「JIKON SAUNA TOKYO」(青梅)
朝夜が少し冷え込むこの季節。夏もいいけど、涼しい今こそサウナ行きたくない? そんなテンションでやって来たのは「Satologue」と同じ青梅線沿いにある「JIKON SAUNA TOKYO」です。
青梅駅から徒歩23分。静かな住宅街の中にある築150年の古民家をリノベーションした一棟貸しの宿です。暖簾をくぐると、まるでタイムスリップしたかのような昔懐かしい雰囲気。

ここで「JIKON SAUNA TOKYO」の名前を少し解説。「JIKON(而今)」とは禅の言葉で「今、この瞬間」を表します。
いつもスマホからの通知や情報の波に晒される私たちに、一緒に訪れた家族や仲間、恋人と過ごす時間や自分と向き合う時間を大切にしてほしいというメッセージが込められています。案内時にはスタッフさんから「ぜひデジタルデトックスで過ごしてみてくださいね」との一言も。
そして、その名の通り注目すべきは、男女一緒に利用可能な貸切サウナ。座面も壁も全部土でできている関東初の「アースバッグサウナ」です。360°を取り囲む土に蓄熱された熱が、からだの芯まで温めます。

早速入ってみると、中はまるで洞窟のよう。木のサウナとの大きな違いは、その「過ごしやすさ」。土に蓄熱された熱を浴びるため、「熱っ!」という痛々しさがなく呼吸がしやすいのもポイントです。からだにやさしい温まり方で、わいわい会話を楽しみながら過ごすことができます。

サウナを楽しんだあとは、4種類もある“整いスペース”へ。
1つはサウナの定番「インフィニティチェア」。朝は朝日を浴びながら、夜は星空を見ながら宙に浮くような感覚を味わえます。
松葉:あ~気持ちいい。でも、正直まだあと10セットくらい余裕でいけそう。
長谷川:だよね。内側から温まる感じだから、まだ全然いける。

その他にも、京都の川床をイメージした屋外の畳スペースや、床暖のようにポカポカとしたサウナの蔵の2階にある屋内スペース、古民家といえばの縁側スペースなどの休憩スペースが。日本の四季を感じたり、会話を楽しみながらゆったりとリラックスできます。

古民家といえばの縁側でまったり

サウナの蔵の2階も畳が気持ち良い休憩スペース
部屋に入ると、気持ちのいい畳が広がります。築150年の古民家にあった柱や畳を最大限生かした、どこか懐かしい雰囲気に心がほっと落ち着く空間。
松葉:畳があると、絶対ゴロゴロしたくなるよね。
長谷川:わかる。実家にも畳がないから、逆にこういう機会にしか堪能できない。
松葉:和室ってなんでこんなに落ち着くんだろう~。

サウナでからだを温めて、お気に入りの“整いスペース”でまったり過ごす。ご飯は地元のお食事処から宅配を頼むことも、食材を持ち込んでキッチンで本格的にお料理することもできます。
まるでそこは、昔懐かしいおじいちゃんおばあちゃん家のよう。そんなノスタルジックな気分に浸りながら、「お疲れ、自分」と肩の力を抜いて過ごせる場所でした。

JIKON SAUNA TOKYO
住所:東京都青梅市駒木町2丁目387
アクセス:JR青梅線「青梅」駅から車で約5分、徒歩で約20分
営業時間(宿泊):チェックイン 15:00/チェックアウト 10:00
営業時間(日帰り):10:30-13:30/14:00-17:00/17:30-22:00(内3時間)
定休日:年中無休
Instagram:
@jikon.sauna
公式サイト:https://jikonsauna.com/
ホテルでのお籠りステイも立川エリアの散策も「SORANO HOTEL」で(立川)
奥多摩の自然もいいけど、ホテルの中で丸一日お籠もりステイするのも最高じゃない? そんなちょっとlazyな期待を胸に立川駅にやって来ました。
駅から8分ほど歩き到着したのは、きれいな緑が広がる「GREEN SPRINGS」です。自然をすぐ近くに感じながら、レストランやカフェでテイクアウトをしたり、読書など自分と向き合う時間を過ごしたり、思い思いに過ごせる空間です。

長谷川:立川初めて来たけど、すごく気持ちのいい場所だね。
松葉:私も昔美容院に1回だけ来たことがあるくらいで、こんなにいいところとは知らなかった! 風が気持ちいいし、めっちゃ暮らしやすそう。
そんな「GREEN SPRINGS」の中にあるのが、お目当ての「SORANO HOTEL」。コンセプトは、“Well-being(ウェルビーイング)”。
チェックイン後、早速訪れたのは11階。そこに広がるのは、まるで空と一体化したような「インフィニティプール」です。青空と目の前に広がる昭和記念公園の自然、そして天気が良ければ富士山が見えることも。そんな景色に思わず「あれ、ここ東京だっけ?」と声が漏れ出てしまいます。

「インフィニティプール」ではプールサイドヨガや太極拳、アクアエクササイズなど、さまざまなプログラムを受けることも。独自に掘削した温泉水を使用した、冬も安心して入れるほどよい温かさのプールの中で、自分のからだと向き合う大切な時間です。

11階にはそんな「インフィニティプール」を眺めながら食事ができる「SORANO ROOFTOP BAR」があります。
「おやつの時間だ~!」とワクワクした気持ちで、ドリンクを注文。松葉さんは「ソラノレモネード」、長谷川さんは「白桃ベイビーベリー」をセレクト。ノンアルコールのドリンクも充実しているのが嬉しい!

左「白桃ベイビーベリー」、右「ソラノレモネード」
松葉さんが選んだ「ソラノレモネード」は「インフィニティプール」から見える空のグラデーションをイメージして作られたルーフトップバーのシグネチャーとなるドリンクです。
デザートには、「日替わりケーキセット」と「柿のシブースト」を注文して、2人でシェア。
長谷川:柿ってこんなにおいしかったっけ? そのままでしか食べたことなかったから、びっくり。ソースにさつまいもやレーズンが入ってて、口の中で秋が広がる~!
松葉:個人的には東京の烏骨鶏の卵のバニラアイスに感動。食べ終わるのがもったいない~! 3種類とも甘すぎないところもちょうど良くて好きだなあ。

柿を丸ごと使った「柿のシブースト」は期間限定の特別なデザート

複数のデザートを味わえる「日替わりケーキセット」
ロビー階には、朝食からディナーまで楽しめるオールデイダイニング「DAICHINO RESTAURANT」も。シェフ自ら多摩地域の生産者さんを巡り、素材の良さを生かした料理をいただけます。季節や旬、新鮮さにこだわった料理がからだに元気を与えてくれるはず。
お腹を満たしたあとは、いよいよ気になる客室にやって来ました。今日宿泊するのは、バルコニーから昭和記念公園の景色を望める「STUDIO PARK VIEW」という63㎡の部屋。「SORANO HOTEL」はすべての客室が52㎡以上という贅沢な広さです。

「わ~! めっちゃ広い!」とハイテンション気味に、まずは室内を物色。バルコニーから見える自然の景色を主役に、なるべくシンプルなデザインに仕上げたというこの客室。
「STUDIO PARK VIEW」室内
松葉:見て! ゴミ箱とか冷蔵庫とか加湿器とか、全部木の扉で見えないようになってる。無駄なものが一切ない。しかも、洗面台2つあるよ! ケンカにならなくていいね。
長谷川:ほんまや(笑)。こんな家に住みたいな。

松葉:バルコニーもめっちゃきれい! わ~夕日が眩しい。
長谷川:「ここどこ!?」って感じやな。本当に東京なんだっけ。すごい遠くに来たような気分。
SORANO HOTEL基本の客室「Premier Park View」、愛犬とゆっくりと寛げる「DOG-FRIENDLY WA MODERN」、広々とした部屋を贅沢に楽しむ「Spa Suite」など、他の客室も魅力的
カーテンを開けた瞬間から美しい空や緑が目に入り、思わず「ここどこ?」と声が漏れ出てしまう。東京にあって、東京にない景色を体感できる素敵なホテルでした。

SORANO HOTEL
住所:東京都立川市緑町3-1 W1
アクセス:JR中央線「立川」駅徒歩約8分
営業時間:チェックイン 15:00/チェックアウト 12:00 (一部の部屋は異なる)
休館日:公式サイト参照
Instagram:
@soranohotel
公式サイト:https://soranohotel.com/
多摩での“泊まる”旅を終えた2人。感想を聞いてみるとこんなコメントが。
松葉:昨日、SORANO HOTELのプールで泳いでスパも満喫したあと、部屋に戻ってYouTubeを観てたら、いつの間にか寝ちゃってて! 最近日常生活でバタバタしてたから、こんなにリラックスできたのは久しぶりでした。
長谷川:多摩には、自然を身近に感じられるけれど内装はすごく綺麗で過ごしやすい宿泊施設がこんなにいっぱいあるんだなと。僕は大阪在住なので多摩エリアのことを全然知らなかったけど、絶対また来たいです。

ふだんの忙しさから解放された週末は、きっと心とからだにやさしい“余白”をくれるはず。
「最近、ちょっと疲れちゃったな」そんな気分が顔をのぞかせたら、都心からすぐの多摩エリアへ、一泊二日の“無理しない”旅に出かけてみてはいかがでしょうか。
Beyond magazineからのお願い
「多摩で泊まる」に関するアンケート
Photo:大嶋 千尋、Daisuke Takashige(Satologue 食事のみ)
Text:佐藤 伶
Direction:小林 雄大
Edit:白鳥 菜都
Sponsored by :東京都
DESTINATION TOKYO TAMA




















