ユース世代から募ったリアルなお悩みを、モデルのイシヅカユウさん、お笑いトリオ・ぱーてぃーちゃんの信子さん、画家・僧侶の長谷川彰宏さんに聞いてもらう連載企画「今月のサバイブ術」。さまざまな不安や生き辛さが渦巻く今をサバイブするヒントを探ります。お悩みの投稿も募集中!

「相手の浮気が原因で破局した経験から、誰かを信頼するということが怖くなってしまいました。当時の恋人が浮気などしなさそうな人間だったので、余計トラウマになっています。今は今で大好きな恋人がいるのですが、心のどこかでまた浮気されないだろうかと、その人のことを信じきれない自分もいます。それは恋人にも失礼なので、恐怖心を克服したいです。ぜひお三方のご意見を聞かせてください」Kさん(20代)

私、すごくわかる! わかりすぎて回答に時間がかかっちゃうくらいわかる(編集者さん本当にごめんなさい)!
まずそのトラウマを植え付けた人を、若干だけ呪ってみましょう。と言っても相手の不幸を願ったりするようなひどいことではなく、心の中で「小指を角にぶつけて15分くらい行動不能になれ」とかその程度(?)のことです。そして実際に今そうなっていると想像して下さい。相手に確認する必要はもちろんありません。想像だけです。
そのとき、あなたはどう思いましたか?
もしも相手のことを可哀想だなと思ったり、悲しい気持ちになったら、あなたはとても優しい人です。まずその優しさに自信を持って下さい。そして、その優しさがあって今の人と関係を築いているのだと考えてみて下さい。
もちろんそのトラウマは、本来あっていいものではありません。あなたは元恋人にされたようなことをされていい人間なわけがないからです。でもすぐに消えるものでもない。
あなたはその優しさゆえにきっと、今の恋人のことを疑ってしまう自分に罪悪感を持っているのかもしれません。しかし、人のことを100%信じている必要もないのではないでしょうか? トラウマにはなってしまったけれど、過去の経験からあなたは、人を信じすぎないという防衛法を学んだのです。どんな関係性だとしても、それは必要なことだし、悪いことではない。だからそれをまず自分で認めて、許してみてもいいのではないでしょうか?
そしてそのトラウマから不安になったり今の恋人や自分を責めてしまったりしそうになったら、まずそれはトラウマを植え付けた相手のせいで、今の状況のせいではない、と考えてみることで、今の恋人との関係がスムーズにもなるかもしれません。
さて、小指をぶつけた過去の相手を想像して、笑えたり「ざまぁみろ」と思った場合。
あなたはきっと、もうすぐトラウマを克服できます。
そうです。その過去はあくまで笑い飛ばせる程度のことに過ぎない。今の相手とは違うどうでもいい存在なのです。トラウマを思い出して辛くなりそうになったら、何度でも頭の中で小指を角にぶつけてもらいましょう。そしてその度に鼻で笑ってやるのです。そのうちそれさえもバカバカしくなってしまうのではないでしょうか。
少し陰湿かもしれないけれど、私はこうした小さな呪いをおすすめします。

イシヅカユウ
静岡県浜松市生まれ。フリーランスのファッションモデル・俳優。さまざまなブランドのファッションショーや広告に出演するほか、2021年には短編映画『片袖の魚』でスクリーンデビュー。漫画家・瀧波ユカリとともにパーソナリティを務める『どっちが好きなの?』(通称“どちすき”)と、一人でポッドキャスト界の深夜番組を目指す『イシヅカユウの自分語り』がSpotify、Apple Podcastなどで好評配信中。「声優に初挑戦したアメリカのアニメ「ヘルヴァ・ボス」がAmazonプライムで公開中! 是非観てね!(PG15)」
Instagram:@yu_ishizuka
X:@ishizukayu

ふぬふぬ😌😌 まずは、その浮気した元恋人は体臭がうんちの臭いになる呪いを今かけたんで安心してください😌😌
いや、正直1回傷ついちゃったらおびえるのなんかあたり前田のクラッカー(死語通り越して輪廻転生←)だよ🥺💔
信じきれないのが失礼って、意外と思ってるの自分だけかもよ⤴︎⤴︎ 素直に相手に打ち明けてみれば?? かくかくしかじかでとっても不安だし、信じきれないのが申し訳ないんだーって!! うちが恋人だったら可愛ええやっちゃで!! 骨の髄まで愛してやんぜ!! ってなるよ😘😘
その代わり、こちらも信じられるようにさせてもらったならちゃんと感謝と愛を伝えなきゃだよね😊💕
それか元恋人の悪口お互いで言い合っちゃえば?(笑)。こっちもスッキリするかもだし、相手にも言霊の呪いがかかって浮気やりづらくなるだろうし(笑)。
いやそんなの時間の無駄か🤮🤮 もうその元恋人は脳みそから抹殺してっいち早くっ🤮🤮
そんなやつ思い出してるの時間もったいないから、今の好きぴとらーぶらーぶに過ごすか、好きなとこ思い出してムフフって幸せオーラ撒き散らしとこ💖💖 その方が絶対人生お得だよ💖💖 あとは独り身の人に睨まれるのに耐えるだけ⤴︎⤴︎
.jpg)
信子
大分県大分市出身。お笑いトリオ・ぱーてぃーちゃんのボケ(思い立ったことをすぐに言う)
担当。ラジオアプリGERAにて『ぱーてぃーちゃんの絆Nightふぃーばー』を毎週金曜日に更新。
「この度大分市魅力発信アンバサダー(分かりやすく言うと観光大使的なこと)になりまんた💖💖 うぇーい⤴⤴ ぱふぱふ⤴⤴ 正直有り得ないくらい地元の魅力発信しちゃう予定💖💖」
Instagram:@nobuko_0801
X:@n0bush1

トラウマというのは、本当にふとした瞬間に訪れますよね。治りかけのカサブタを無意識に剥がしてしまったときのような、ヌメりと痛みがある。過去の強烈な体験というものは、そう簡単に払拭できるものではありません。
今回の質問者の方は、元恋人に浮気された経験がふとよみがえり、現在の恋人への不信を思ってしまう、その“反応”を自責的にとらえて「こんなふうに考えるのはやめないと」と思われているのでしょう。お気持ちはとてもよく分かります。
しかし僕は、過去の傷がフラッシュバックしたときに湧き上がる感情というのは、“思考”というより“反応”に近いものだと思っています。「自分の考えは相手に失礼だから、反省して思考回路を改善しよう」というような種類のものでは無いんじゃないでしょうか。
たとえば、雷が突然鳴ってビクッとしたとして、それはまさに“反応”でしょう。脊髄反射みたいなものです。でもそれを「驚いたのは周囲に迷惑だから、今後は雷が鳴っても驚かないようにしよう」というのは、かなり難しい努力目標のように聞こえます。
質問者の方が抱えているのも、ある種、この構造に近い気がします。過去のトラウマがよみがえり、悲しさが湧き上がり、そして目の前の恋人に対しても瞬間的に不安が重なってしまう――これは“反応”であって、“思考”ではない。
“思考”であれば、それを改善したり、修正したりする努力が可能になりますが、“反応”は身体感覚や感受性に近いものです。
そして“反応”それ自体には「正しい・間違っている」というものはなく、過剰な物語的な意味を与えないことが大事だと思います。
僕たち人間は、過去の記憶がフラッシュバックして目の前の現実を覆ってしまった時に、「あぁ、昔のことをこんなに考えちゃうなんて、元恋人のことを引きずっているんだろうか……」とか「今の恋人に失礼なんじゃないか」と考えてしまいがちですが、それは「物語的意味」を“反応”に与えすぎているように僕は思います。
“でかい音が急になってビックリしたわ”には良いも悪いも無ければ、意味も物語も無いと割り切っちゃった方がむしろ自然です。
質問者の方も、現在の恋人とは上手くいっているということなので、過去への“反応”が日常の中にどれだけ顔を出してきても、「あーなんか低気圧だし今日は過去の記憶が元気だな」くらいに思っちゃう。
「自分はこういう状況になるとトラウマが再燃しやすいんだな、へー」という感じで、受け止めるだけにする。
“過去の傷と、その反応”を簡単に否定せず、安易に意味を見出さず、静かに観察することができれば、過去の記憶を切り捨てず、現在も覆い隠されない、良いくらいの感じになるかもしれません。

長谷川彰宏
三重県津市生まれ。天台宗系の寺院に生まれ、12歳の時に得度(出家)。現在は東京藝術大学院美術研究科に所属し、現代アーティストとして活躍する。仏教思想や仏像の造形にインスピレーションを得た作風が特徴。
Instagram:@akihiro_hasegawa_jp
X:@Akhr0g
お悩みの投稿はコチラから!
Text:イシヅカユウ 、信子(ぱーてぃーちゃん) 、長谷川彰宏
Edit:山梨幸輝










