豪徳寺で皿書店という本屋をやっている関秀一郎です。食専門の古本屋でエッセイやレシピ、洋書、ZINEなどを扱っています。店内では読書会や珈琲・茶などの試飲イベントも開催しています。本が好きな方、または食いしん坊のみなさま(そうでない方も)、ぜひ遊びに来てください。
書店業界も、自分で商売をするのも初めてだったので、すべてがチャレンジの年だったと思います。今までの人生でウィッシュリストを作ったことがないので、どんなものができるのか楽しみです。

関秀一郎
1997年生まれ。2025年4月、世田谷区・豪徳寺に古本屋「皿書店」をオープン。“食”をテーマに、レシピ本や小説、ZINEなどを幅広くセレクト。お茶を無料提供する「豪徳寺茶散歩」や読書会「SALAD Book Club」など、さまざまなイベントも企画している。
Instagram:@salad_bookstore
2025年、どんな年だった?
書店をオープンしたばかりで、地獄の忙しさでした……と言いたいところですが、ろくな告知もせずにスタートしたので、実際にはゆったりとしていました。当初は蔵書が少なかったり、冷蔵庫に本を詰め込んだり、本屋然としていなかったので、通りすがりの方に「ここ何屋さん?」と言われていました。その後、地元の方をはじめ、徐々にうちのコンセプトが認知されてきたと思います。
豪徳寺に住む方はとても穏やかで、面白いことを面白がってくれる方が多い印象です。皿書店のような個性的なお店でもしっかり受け止めてくれるので、些細なことでもチャレンジがしやすく、とてもいい環境です。

「皿書店」オープン前の準備風景
今年のハイライトを1つ挙げるとしたら、「豪徳寺茶散歩」だと思います。無料のお茶を提供するイベントなのですが、豪徳寺に店を構える店主が協力し合い、備品制作や告知を一緒に準備していきました。結果的にイベントは大成功。普段は一人で切り盛りしているので、コミュニティの力は偉大だなと痛感しました。

「豪徳寺茶散歩」のロゴをプリントしている様子
2026年のウィッシュリスト

✅ 中国語を話したい
「日本は目の料理、西洋は鼻の料理、中国は舌の料理」といわれるように、中華料理は世界のどこで食べても美味しいと感じる料理のひとつです。日本の食文化も中国の影響をたくさん受けていますが、それに比べると文献が少なく、せっかくなら実際に現地に行って食べてみたいという気持ちが強くなりました。
私はラーメンが好きなので、蘭州や西安など伝統的な麺料理をもつ地域に行きたいと思っています。
いいレストランを探し出すには、現地の人と仲良くなって、教えてもらうのが一番! ということで、簡単な中国語を習得したいと思っています。

「皿書店」に並ぶ本
✅ 通販に頼らない
ラーメンばかり食べない。鳥のショート動画ばかり見ない。寝だめもしない。
いろいろ心がけていることはありますが、最近とくに意識しているのは、できるだけ自分の足で外に出て買い物をすることです。ECを使えば何でも簡単に手に入る便利な時代ですが、自分でお店を持ってから、実店舗(とくに個人店)にきちんとお金を落としたいという気持ちが強くなりました。実際に買い物に出かけると、新しい喫茶店との偶然の出会いや、店員さんとの何気ない会話など、日常の中にある小さな素敵な瞬間をプレゼントしてもらえる気がします。

1974年に刊行されたベジタリアン料理本「Moosewood Cookbook」。関さんの私物
✅ 水戸黄門に会ってみたい
日本で最初にラーメンを食べたのは、徳川光圀公だと言われています(諸説あり)。見たことも聞いたこともない「ラーメン」という食べ物を前にして、どんな反応を示したのでしょうか。純粋に美味しいと感じたのか、それとも戸惑いや違和感のほうが勝ったのか。例えば「これは不味い!」と言っていたら、ラーメンは定着しなかったのか……。
史料には残らない、その瞬間の率直な感想を、食べた本人に直接聞いてみたくなります。フランスにコーヒーが入ってきた当初、奴隷を連想しないようにミルクを入れたという話がありますが、未知の食べ物を人々がどのように受け入れ、または排除し、自分たちの色に染めていったのかが最近の気になるトピックです。
✅ 小豆島へ行きたい
ずっと興味のあった「四国」と「島」を同時に味わえる絶好のスポットなので。小豆っていう名前もいいですね。
✅ 「Artist's Cookbook」を作りたい
「Artist's Cookbook」(1977)というMOMAが出版した本の現代版を作成してみたいです。本書は、アンディ・ウォーホルがキャンベルを温めただけのレシピなんかも収録されていて、リアルな食生活を垣間見れるところが醍醐味です。
もし私が作るとしたらアーティストに限らず、食生活にあまりスポットのあたらない職業や年齢の人(公務員から日本に住む外国人まで)の食生活を覗いてみたいと思っています。普段は古本を扱い、過去の時間に触れることが多いからこそ、あえて現在進行形の食卓にフォーカスした一冊にしたいなと思っています。

関さんの料理風景
2026年、どんな年にする?
1つ目は、お客さんがおすすめしてくれたレストランや、料理が思いのほかたくさんあるので、時間を見つけては少しずつ制覇していくことです。
2つ目は、「書店員は本が読めない」と噂で聞いたことはあったのですが、実際に働いてみると本当にその通りで、気づけば月に1冊読めるかどうか、というペースになってしまいました。毎日大量の本に触れているのに、じっくり読めないもどかしさを何とかしたいです。みなさんはどうやって本を読む時間を作っていますか? 教えてほしいです。ぜひ教えてください。








