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WAKAYAMAごんぱち家族の移住日記

夢のプライベート「川プール」で子どもと一緒にダム造り!

author: 利根川 幸秀date: 2023/09/21

「WAKAYAMA」こと和歌山県へ移住した利根川一家。連載8回目は、めちゃめちゃ涼しい川遊び。行きつけのリバースポットは、車で20分以内だけで7~8カ所。どこに行っても間違いないことはひとつ、川底の石までハッキリと見える透きとおった水ということ。遊び場は川、暑ければ川、気分転換に川、仕事帰りに川、散歩がてら川、川川川川かわ三昧、利根川ファミリーの川シーズンが流れてく!

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夢にまで見たマイリバー、無人の谷でひとり叫ぶ

ウチの家は、玄関先から谷を流れる川の様子が一目瞭然の位置にあり、小走りすれば一分もかからず川に飛び込むことができる。上流には民家が2軒、三人しか住んでおらず、水が汚れる要素はほぼゼロに近い。

もちろん川の水は飲めそうなくらいキレイだ(飲みません)。天気がいい日は、散歩気分で家の下の川の様子を見に行く。もちろん海パンTシャツいつ何時でも泳げる準備は万全で、「とーちゃーん!」と家の方から子どもの叫び声が聞こえると、「今日は奥にいくぞーー!!」と返す。

するとキャッキャと言いながら、水着姿に水中メガネ装着の子どもたちが走ってくる。

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 自宅の近所が秘境です。これがプライベート「川プール」

場所はクルマで1分、徒歩でも4、5分ほど集落の奥へ行った近い場所だ。そこに停め、さらに2、3分くらい川を上流に歩けば、流れも緩く深さもあり、低学年の子どもたちが岩場から飛び込んで遊ぶのに丁度いい、最高の「川プール」があるのだ。

そして何よりすごいのは、こんなに最高なシュチュエーションにも関わらず、この川プールで遊ぶのは、我々ファミリーしかいないところ。もはやプライベート川プール、田舎暮らしを始めただけで、何一つ努力もせず手にいれてしまった夢のマイ川プール。

畑の草刈りや、田んぼ作業で汗まみれで帰って来た時には、そのまま奥までクルマで乗りつけ、全ての着衣を脱ぎ去り、産まれたままの姿でドボン! 

何度か潜水を繰り返し水面に顔を出す。頭を爪でガシガシとこすり、また水にザブザブつける。

全身の汗と疲労が流れていき、シャワーで流すのとはまるで違う復活感。誰もいない谷の奥、「チンチンブルブルゼッコーチョー!」 気がつけば絶叫していた。

田舎の子あるある、カッパレベルに泳ぎが上達!

幼少期に、映画やテレビの中で子どもたちが、川底まで透きとおる川に飛び込んだり、潜水をして魚を獲ったりしているのを見て、ドブ川しかない住宅街で育った自分は、キレイな川での遊びを夢に見るほど憧れた。

今となっては、40歳半ばにして自分の子どもたちが、当たり前のようにキレイな川で遊んでいるのがうれしい。この辺りは熊野川に流れ込む支流が多く、ウチから車で2、30分以内だけでも、映画のようなロケーションの川遊びポイントが7〜8カ所はある。

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 行きつけリバーにチャリ通い

小さい子どもが多い時はあそこ、泳げる子が多い時はあそこ、サクッと行くならあそこ、都会から癒しを求めてきた友達はあそこ、選べる川のジャンルは多種多様。

その日その時の気分とメンツで遊ぶ川を使い分けている。

「昨日はあそこ行ったから、今日はあっち行こうやー!」

夏になると、まるで行きつけの飲み屋のように連日“ハシゴ川”ができるのは、田舎暮らしの特権なんだろう。

行きつけの川には、だいたい誰か“いつメン”が遊んでいて、気心知れた親同士が入れ替わりに子どもたちを見たり、大きい子が小さい子と一緒に遊んだりと、田舎ならではコミュニティがとてもありがたく、子どもを遊ばせやすい。

川の遊び方は十人十色

小さい子たちは基本ライフジャケットを着ているが、去年ライフジャケット着ていた子が、今年は何も着けずに足のつかないところで、バシャバシャ泳いでいる。それを見て、自分の泳げる限界を体感しながら遊んでいる子たちは、自然と危険察知能力も上がるような気がする。

うちの子もここの川では、ライフジャケットを手放す日も近そうだ。(もちろん細心の注意が必要なのは当然)

川の先生は小学生! 自然水族館で課外授業

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ウナギがふつうにいるんです

先日、行きつけの川であまり見かけない父子が遊んでいた。5、6年生くらいの子どもが、シュノーケルを着け何やら採っている。

「おとうさーん! 手長エビー!」「おとうさーん! ゴリ獲ったー!」 「ウナギおるんやけど、見失ったー!」

などなど、聞いているだけで「弟子にしてください!」と言いたくなるようなフレーズが飛び交った。

お父さんはくるぶしまで浸かる川の中、キャンプチェアにどっしり腰掛けゆったりとした川慣れ感。話しかけてみると、住んでいる地域は違うが地元の親子で、川遊びに浮き足だっている自分とは雰囲気が違うのにも納得。

少年は、透きとおる水中にシュノーケルで顔をつけ、長さ50〜60cmくらいの釣り竿に、1mくらいの長さの針糸で餌はミミズをつけ、泳ぐ魚のそばに落とすだけ。いろいろな魚たちが様子を見にきては突っついたり、食べそこねたりを観察しながら、一番ガッツリくわえた時に釣りあげる。

獲ると釣るがニコイチになったような絶妙な遊び。水面の浮きを見ながらする釣りしかやった事なかった自分には、心躍るような釣りスタイル。これがまた面白いように釣れるのだ。

水族館で餌付けをしてるような感覚で、魚の暮らしを覗き見ながらの魚釣り。少年の隣で、息子と一緒に水中に顔をつけて見ていると、「やってみる?」と、人懐っこく声をかけてくれた。

「アイツはボウズハゼ、簡単やで!」

言われるまま顔のあたりに餌を寄せると、スイッと来て「パク!」。

ええー! こんな簡単!? これなら絶対釣れるじゃん、という万能感があふれた。この後、息子と二人で少年を「先生! 先生!」と呼び、ついて回ったのは言うまでもない。

田舎の遊びはユンボも登場! 川への熱量ハンパじゃない

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大人が本気の川プール造り

ある時、川にユンボが入って何か作業をしているので様子を見ていると、通りかかった人が川プールを作っているのだと教えてくれた。毎年、夏になると、近所の土建屋さんがユンボを使い、手慣れた様子で子どもたちが泳ぎやすいように川を堰き止めてくれるのだ。

大雨が降って川プールが流されても、数日後にはまた川プールを作り直してくれる。先代社長の頃から従業員ではなく、社長が自らユンボを運転して、バランスを見ながら絶妙な感じで川を堰き止めていく。

永年の経験と気持ちがあるからできる、いい塩梅の川プール。その後は、ユンボで作ったベースを活かし、地元の自称ダム職人や、ダムビルダーたちが子どもを遊ばせながら、人力でさらに完成度の高いダムを造りあげていくのだが、これがまた本当に楽しいのだ。

黙々と石を積むダム職人の父と子

なんなら、泳ぐよりも数倍楽しい。堰き止める川プールのダムにはルールなどない、子どもたちが安全かつより楽しく遊べるように、どんどん手作業で積み上げていくだけなのだ。

もちろん打ち合わせなどはなく、それぞれが積みたいように石を積んでいく。仕事帰りに橋の上からダムを眺め、崩れてる部分を見つけると次はあそこだなと帰る。

後日、石を積む気満々、作業用ゴム手袋を持って行くと、すでにいい感じに石が積み上げられている。

「おっ!綺麗に積んでるなー、たつ兄(地元測量会社社長)!やるなー」と、独りつぶやく。また別の時には、大雨の後崩れたダムを修復積み上げしていると、「とねちゃんほんま早いなー」と、作業用ゴム手をしながらたつ兄が現れる。

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完成度がもはや作品レベル

自分もダム造りが好きだが、この人も好きなのがわかる(笑)。

むしろ、この人はここで育っただけあって、この川、この場所が好きなことがわかる。ついこの前も、橋の上からのぞくと、黙々と崩れたダムを直していた。

ぎっくり腰をやらかしている自分は、ウズウズする気持ちを抑え、こっそりと、パパラッチよろしく、ダム職人の仕事を盗み撮りして立ち去ったのはここだけの話。

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フォトグラファー
利根川 幸秀

1978年埼玉育ち、99年にインドよりエジプトまで陸路で旅して、途中イスラエルで旅費を稼ぎ、2000年ハンガリーより帰国、その後も東南アジアなどバックパッカーしたのち、職人などを経て、2006年写真家・𣘺本雅司氏に師事。2010年フリーランスとして独立。雑誌、webメディア、ポートレート、家族写真等、多岐にわたり撮影。趣味:川遊び、ダム瞑想。2021年、家族で東京より和歌山に移住。
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