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カーボンファイバープレート試してみる?

NBの厚底シューズはレース後半で効果を発揮する!

author: 南井 正弘date: 2021/06/23

いまランニングシューズ市場を席巻する“厚底ブーム”。ナイキ一強と思いきや、各メーカーも熾烈な開発競争を繰り広げている。そんな厚底ウォーズに新たな注目のプロダクトが登場した。そんなニューバランスの「FuelCell RC Elite v2」について、ランナーズパルス編集長の南井さんが魅力を徹底分析する。

前作から反発弾性が大幅アップ!

ニューバランス 「FuelCell RC Elite v2」 2万8600円

FuelCell RC Elite v2」は、ニューバランスがフルマラソンで世界記録を狙う上級ランナーにも対応する1足として開発。前作と比較し、反発弾性を強化したFuelCellミッドソールにカーボンファイバープレートを組み合わせ、レース後半でも足が動くよう、助力効果に焦点を当ててアップデート。「今からだって、速くなる」をコンセプトにライバルブランドに挑む。

ランナーだけでなく一般の人々の間でも認知されるようになったランニングシューズの関連ワードがある。それが「厚底シューズ」。かつてエリートランナーは、着地衝撃の吸収よりも脚力を効率よく路面に伝えるために薄いミッドソール/アウトソールのシューズを履くことが一般的で、日本のランナーは、欧米のランナーと比較して体重が軽いことから特に薄いレーシングフラットを履き、それらは最も厚い後足部でも20mm未満のシューズも珍しくなかった。

そのために2017年、ナイキのズーム ヴェイパーフライ4%が発表されたときは、「あんな厚いソールのシューズではスピードは出せないだろう!?」というのが多くのランナー、日本のスポーツ小売店の見解であったが、エリウド・キプチョゲ(ケニア)がズーム ヴェイパーフライ4%と同じ系譜にあり、エリートのみに供給されたズーム ヴェイパーフライ エリートを履いて、イタリアのモンツァサーキットで行われた、フルマラソン2時間切りを目指す「Breaking2」に参加。

非公認レースながらサブ2間近の2時間00分25秒でゴールしたことで、ナイキの厚底レーシングシューズの存在はワールドワイドで認知されることとなった。その後の同シリーズの快進撃はご存じの通り。世界中のメジャーレースの表彰台のほとんどを、厚手のミッドソールとカーボンファイバープレートを組み合わせたナイキのレーシングシューズ着用ランナーが占め、日本の箱根駅伝では2020年が84.3%、2021年が95.7%という驚異的な着用率となったのである。

レース後半でも脚力をキープしランナーを速くする最新モデル

このような状況に他ブランドも手をこまねいていたわけでなく、ナイキに対抗すべく独自のアプローチでエリート向けモデルを開発している。ニューバランスもそのひとつで、昨年カーボンファイバープレートを内蔵した「FuelCell RC Elite」をリリース。エリートのみで開催されたロンドンマラソンetc.では何人かの着用ランナーを確認することができた。

そして、このモデルの機能性を大幅アップさせたのが今回紹介する「FuelCell RC Elite v2」だ。アッパーには通気性と軽量性の高いニットアッパーを採用。長時間の走行でも快適性を失わない。ミッドソールにはニューバランスで最も反発弾性が高いFuelcellを使用。そのボリュームは前作の「FuelCell RC Elite」から大きく増やし、内蔵されたフルレングスのカーボンファイバープレートと組み合わせることで、抜群の推進力を確保している。

アウトソールはグリップ性を確保しつつ、転がり抵抗の少ないマテリアル&パターンを組み合わせたことで、着地から蹴りだしまでの動きもスムーズ。実際に履いてみるとミッドソールのボリュームアップは足を入れて立っている状態で体感できるレベル。フワフワといった表現がピッタリだ。

走り始めるとFuelcellの反発弾性の高さを足裏に強く感じる一方で、カーボンファイバープレートの存在はほとんど感じないが、着地から蹴りだしまでの一連の動作のスムーズさは、これまで経験したなかでもトップレベル。一連のナイキのカーボンファイバープレート内蔵モデルがプレートの存在感を強く感じるのとは対照的だ。またナイキのズームXフォームをミッドソールに使用したプロダクトは強く踏み込むと「バフォ」といった感じの音がするが、こちらはペースアップしてもかなり静か。自動車に例えるならガソリンエンジン車と電気自動車ほど違う。

徐々にペースを上げていくと無理なくペースアップできるが、Km/4分前後からカーボンファイバープレートを足裏に感じ、このパーツが前方への推進力に貢献していることが理解できた。日課の6kmランで5度走り、二子玉川の河川敷で行われていた1マイルレースでも使用したが、本当にスピードに乗りやすく、しかも脚部へのダメージが少ないところは本当にありがたい。

これならフルマラソンの後半でも脚力を残すことができそうだ。ひとつ気になったのはインソールが後ろ方向にズレやすいことだが、これは市販の両面テープで固定することで解決することができた。

アッパーには通気性と軽量性の高いニットアッパーを採用。フィット感にも優れ、長時間の走行でも快適性を失わない。
ニューバランス史上、最も反発弾性が高いFuelcellをミッドソールに採用。写真のように前作「FuelCell RC Elite」から大幅にボリュームアップしている。
「FuelCell RC Elite」がアウトソール前足部に硬質素材のDYNARIDEを散りばめ、凹凸を路面を引っかけてグリップしていたのに対し、今作のアウトソールはフラット。グリップ性とスムーズな転がりを高次元で両立する。
中足部は軽量化のためにミッドソール、アウトソールを廃し、カーボンファイバープレートを視認することができる。

今回、ニューバランスはこのモデルに「今からだって、速くなる」のキャッチコピーを与えているが、それが示すようにエリートランナーをメインターゲットにしつつ、対象となるランナーの間口が広い気がする。前作も「くせが少なく、履きやすい」というキャッチコピーを採用していたが、ニューバランスの厚底&カーボンファイバープレート内蔵シューズは、汎用性が高いことは間違いない。

メンズモデルにはDと2Eの二つの足囲が用意されており、足幅の広いランナーもピッタリサイズを選ぶことができるのもありがたいところ。足形の関係でカーボンファイバープレート内蔵のレーシングシューズの購入を躊躇していたランナーには朗報といえるだろう。

製品貸与:ニューバランス

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ランナーズパルス編集長
南井 正弘

1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドのプロダクト担当として10年勤務後ライターに転身。「フイナム」「SHOES MASTER」「OCEANS」「価格.comマガジン」「家電ウォッチ」を始めとした雑誌やウェブ媒体においてスポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズに関する記事を中心に執筆している。 主な著書に「スニーカースタイル」「NIKE AIR BOOK」などがある。「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日走るファンランナー。ベストタイムはフルマラソンが3時間50分50秒、ハーフマラソンが1時間38分55秒。
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