MENU
search icon
media
Beyond magazineでは
ニュースレターを配信しています
検索
Tags
  1. TOP/
  2. エンタメ/
  3. SUNNY ONLY 1の「後悔しないで生きる」ためのバケットリスト
エンタメ

気張らず、焦らず、自分の心と会話して。

SUNNY ONLY 1の「後悔しないで生きる」ためのバケットリスト

author: Beyond magazine 編集部date: 2024/05/31

シンガー、モデル、DJとして活動しながらクリエイティブコレクティブ「bala」にも所属するSUNNY ONLY 1(サニーオンリーワン)。昨年は2年ぶりとなるシングル「so what?」や、どんぐりず森とのコラボレーション曲「Dance like a monkey feat. 森」をリリースするなど、その活動は今まさに一つのピークを迎えようとしている。
 

ところで、サニーはなぜ“オンリーワン”なのか? 児童養護施設で育ち、天涯孤独の身となった特異な生い立ちもあるが、多分それは本質ではない。今回バケットリストを聞いてみると、サニーを唯一無二な存在とたらしめる確かな理由が見えてきた。

SUNNY ONLY 1

アパレルブランドや広告のモデルをしながら、19歳でロンドンへ単独渡英。音楽に感化され20歳で東京に帰国しシンガーSUNNY ONLY 1として活動を始める。アーティストコレクティブ「bala」としても活動中。

Instagram: @sunny_only1
X: @SUNNY_ONLY1
TikTok: @SUNNYONLY1_
YouTube: @sunnyonly1284

TELL ME YOUR BUCKET LIST.

『12歳の夏休み』という小説を出す

image

今日は「wash it」の衣装を着てきました♪

―― 一つ目「『12歳の夏休み』という小説を出す」について、詳しく教えてください。

人生でいろいろなことを経験してきたけど、中でも自分にとって大きな出来事が家出をしたこと。私は12歳まで児童養護施設で育って、それから母と一緒に暮らしはじめたんですが、ある日、大阪の羽曳野(はびきの)って街に家出することにしたんです。『12歳の夏休み』はこの経験をベースにした半自伝的な内容の小説で、21歳ごろから少しずつ書き続けています。

詳しい内容はまだ言いたくないけど、私がとある女の子と施設で出会い、その子が自分の家に迎えに来るところからストーリーが始まって、大人のいない場所でいろんなことが起きていく、というような内容です。多分、世の中には同じような体験をしている女の子たちがいるんじゃないかなと思うんです。だから、この小説はそういう子たちに向けた注意喚起でもあるし、これを経て今の自分がいるんだよっていうところを伝えたいです。

―― なぜ小説にしようと思ったんですか?

中学生まで携帯を持たせてもらえなくて、本当に何もすることがなかったので、家にあった本を読むことが多かったんです。村上春樹さんとか、母がミステリー好きだったので東野圭吾さんとか赤川次郎さんを読んでいました。めちゃめちゃ影響を受けたってわけじゃないですけど、自分の体験とか辛い出来事をそのままにしておくよりも、まずは言葉にしてみようって感じで、それで言えば歌詞も同じですね。決してきれいなだけの思い出じゃないけど、自分なりのメッセージを込めた物語に変えられたら一番いいなって思っています。

TELL ME YOUR BUCKET LIST.

四季を感じられる場所に住む

――「四季を感じられる場所に住みたい」と思ったきっかけは何かあったのでしょうか?

私が住んでいた施設は大阪の自然豊かな場所にあったこともあり、行事が多かったんです。例えば、春は「桜バザー」というバザーのイベントがあって、そこで子どもも屋台をやってお小遣いを稼いだりして、そういうのがすごく楽しくて。

―― 季節ごとのイベントごとを楽しみたいんですね。

そうですね。夏だったらやっぱり縁側に座ってスイカを食べたいですし、秋はちょっと切ない気持ちになりながら1人で散歩して、枯れ葉に自分を重ねてみたり。冬はもう本当に家にこもって鍋がしたい(笑)。そうやって季節の移り変わりに自分の心も左右される感じがすごく好きなんです。

それで言うと結局私は最後まで日本に住みたいんですよね。でも気候がどんどん変わっているので、果たして四季を感じられる場所が東京かというとそういうわけでもなさそう。自然の中で四季を感じられる場所でいうと、長野とか静岡とかいいかもしれないですね。

TELL ME YOUR BUCKET LIST.

児童養護施設にいる子どもたちと夢について話したい

image

――「夢」についてというのが印象的でした。これにはどういった理由が?

施設自体は本当に恵まれた環境だったんですが、自分の将来を考えたりするようなことがあんまりなかったんですよね。単純に今が楽しいからってテキトーに過ごしていて、もっと勉強しておいたら良かったなって本当によく思うんです。

でもそういう現状って変えようと思ってもすぐには変えられないですよね。だから自分が「メッセンジャー」となって、「みんなもっと夢を持っていい」ということや、「どうやったら夢につながる行動ができるか」を考える手助けをするためのメッセージを発信し続けたいんです。自分の失敗はなかったことにできないけど、こういう経験があるからこそ生まれた自分の使命だと思っています。

―― 具体的にメッセンジャー的な役割を意識するようになったきっかけはありますか?

私が育った施設に来ていた夜回り先生の講演がかなり大きかったです。その先生が、「シンナーに依存してしまった男の子と向き合いきれずに、結果的にその子を亡くしてしまった」という話をしてくれました。先生はたくさんの人を助けてきたけど、そのことにすごく後悔の念があって、でも結果的にそれが夜回り先生としての活動につながったということを伝えてくれました。自分も何か間違えてしまったり、後悔してしまったりすることはあるけど、“それを踏まえた上で戦えるんだ”っていうことを知るきっかけになったし、先生のように「誰かにメッセージを届けるために言葉を使う仕事がしたい」と思いました。

image

―― その先生は『ラップスタア誕生!」(※)のリリックに登場する「助けてくれた先生」?

そうですね。でもその先生以外にも本当にいろんな「先生」と呼ばれる人に助けられてきました。私は小学生の頃、自分の思い通りにならないと火花を散らすぐらい怒る人間だったんですけど、それにすごく向き合ってくれた先生もいました。流されやすいタイプの自分と進路を一緒に考えてくれた先生もいたし、自分が悪さをしたときに泣いて止めてくれるような先生もいましたね。

(※)「ラップスタア誕生!」……ABEMAより配信されている次世代ラッパー発掘オーディション番組。SUNNY ONLY 1は2024年にこの番組に自作のラップを応募した。

TELL ME YOUR BUCKET LIST.

地球の美しい場所に行きたい

image

―― 地球の「美しい場所」というと?

私は地方で育ったので、やっぱ自然っていいなって思うんです。今ってSNSでいろんなきれいな場所とか観られちゃうけど、実際に体験しないと勿体ないなって思っちゃいます。フィンランドでオーロラを観てみたいし、ジャマイカとかも行ってみたいな。でも地球温暖化とかやばすぎて、どんどん美しいものが失われている気がするから、美しい場所を探したいし守りたいです。

あとは最近ツアーでタイに行ったんですが、みんなフレンドリーというか人懐っこい方々ばかりで大好きになりました。美しい「場所」って書いたけど、場所に限定しているわけじゃなくて美しい「人」だったり、自分が触れてこなかった「文化」に触れてみたいってことかもしれないですね。

―― サニーさんはクラブカルチャーの中でご活躍されているので、どちらかといえばいわゆる「カルチャー」の中で生きたい、というタイプかと勝手にイメージしていました。

東京のせわしない感じも好きだし、クラブで若者が熱を持ってダンスしている感じもマジで大好きですよ。だから20代の自分にフォーカスしたらやっぱりクラブです。でも、クラブで踊ったりしているのは今の鬱憤を晴らしたりエネルギーを放出したりするためのものって感じもしていて、だから自分が60歳とか70歳になってクラブに行って「イェー!」とかやるかと言うと……いや、それも面白いですね(笑)。あ、わかった! 「老人ホームでテクノパーティー」っていうのも、バケットリストに追加していいですか? 最高かもですね。

ただ今の自分が老後を考えると、やっぱり自然に囲まれた縁側とかでお茶飲んで「最高だね」ってやっていたいって気がします。

TELL ME YOUR BUCKET LIST.

動物を飼う

―― 「動物」と書かれていますが、飼いたい種類は決まっていますか?

もう本当に猫でも犬でも何でもいいんですけど、動物をめっちゃ飼いたいんです。友達の家にいる犬猫とか、みんなめっちゃ「ファミリー!」みたいな感じで。それに、人間だと損得勘定だったり疑ってしまったりとか、雑念みたいなものがあるじゃないですか。その雑念も愛すべきですが、猫は本当に気ままだし、犬は「好きです! 遊びたい!」っていうわかりやすい感じが最高ですよね。自分にそういう相棒がいたら人生やばいなって思います。だけど今は自分のことで手一杯になっちゃってて、命を守れる自信がないのでゆくゆくは飼いたい、って意味で入れてみました。

「後悔してないよ」と言うために

image

――バケットリストを考えてみていかがでしたか?

これまで「死ぬまでにやりたいこと」を具体的に考えたことはなかったんですが、人生の目標としてることはずっと変わってないので、書きやすかったというか、やっぱり自分の意思は変わらずあるなと確認できた感じでした。

―― お話を伺っていて、サニーさんは人生を長い目で見ていらっしゃる印象を受けました。ご自身の死についても普段から考えることってありますか?

母親が私が21歳ぐらいのときに亡くなったんですが、そのときに死についてめちゃくちゃ考えました。母親とは18歳で家を出てからはたまに会うぐらいの関係だったんですが、母親があと1ヶ月でもしかしたら亡くなってしまうかも、ってわかったときに何回も会いに行って話しをしたんです。

母親はずっと病気をしていて、家にこもってドラマばっかり観ているような人で、私からすると正直ちょっと退屈そうだなって思ってしまうところもあったんです。でも、お見舞いに行ったとき「お母さんって後悔とかしてないの?」って聞いことがあったんですが、そしたら「してないよ」って。それが本心だったのか強がりだったのかわからないけど、それでも私に対して「後悔してない」って言ってくれたので、自分も死ぬときはそう言える人になりたいって思ったんですよね。

母親が亡くなったときも会いに来る人は本当少なくて、多分友達も少なかったんだろうなって思うんですが、自分もちょっと似てるんですよね。ぐっと親しくなる友達とかもあんまりいないですし。でもそこでもない、というか。みんなに囲まれて死ねたら幸せかといったらそうでもないと思うんで。何歳で死のうが、「後悔してないよ」っていう言葉を言えるかどうかを意識しながら生きたいなと思っていますね。

image

迷っても、後悔しても、いつか“めくれる

―― サニーさんは人生の中でいろいろな決断をしてきたと思いますが、その中で「こうしておけばよかった」みたいに後悔することはありませんか?

正直、何かを決めるときってしっかり迷って決めるというよりは、好きか嫌いかで動いてしまっている自分がいて。例えば家出はもともとするつもりはなかったんですよ。でも迎えに来た友達にそのままついて行っちゃって、「あのとき家出しなきゃよかったな」ってあとからすごく後悔して、自分のことが本当に嫌いになったんですよね。モデルとか人前に出る仕事をしていたのに、ずっと自分が嫌いな時期もありました。

でもコロナ禍にある歳上の女性との出会いで、自分を見つめ直すことができたんです。その人には過去の話とかもどんどんさらけ出したくなるし、すごく聞いてくれる人だったんです。その過程で自分のことを嫌いだと感じる原因や行動、過去の出来事を少しずつ繋げることができて。2週間とかで一気に自分のことを話しながらそれが繋がっていって、その後は“嫌いだった過去の自分を抱きしめる作業”に移行したんですよね。

そうすると、後悔していたことが後悔じゃなくなっていきました。最低だし嫌いだと思っていた自分のことを「大丈夫だよ」「あのときは精一杯やったんだし、あなたはあなたらしく生きてるよ」っていうのを言ってあげらるようになって、そこからめっちゃ変わったんです。だから迷ったり後悔したりしても、いつか“めくれる”と思います。

――“めくれる”っていいですね。今自信が持てなくても未来に希望が持てます。

家出のときに起こった嫌なこととか、自分の中にずっと仕舞っていてもいいんだけど、仕舞わずに人に共有することで誰かの助けになるかもしれないですし。選択をミスることってたくさんあると思うしミスってもいいと思う。単純に本当に自分を愛する方法を見つけることができれば、大丈夫って感じですね。

―― サニーさんの確固たる考えはそのように形成されていったんですね。ちなみに、ファッションやスタイルはどのような過程で形成されたのでしょうか?

実は最初に自分のスタイルを形成したのは、映画の『レオン』なんですよ。高校生のときにマチルダに憧れて髪もバツっと切って、MA-1着てショートパンツ履いて真似したんです。そしたら周りから「サニーちゃんってスタイルあるね!」って言われたんですよ。自分としては「真似しただけなんだけどね!」って感じなのに。でも同時にそれを「チョイスする自分」みたいなところからスタイルが生まれるんだってわかったんです。他にも、『わたしはロランス』という映画を観て赤髪にしてたこともありました。割と映画の登場人物とかに影響を受けることが多いです。

最近は特定の性別を感じさせないスタイルの方にすごく色気を感じて、真似してみています。「あの人かっこいいな。自分だったらどう着るかな」みたいな感じ。だから、「私はこれだ!」みたいなものは、実はないんです。

―― 何事も真似から始めてみるのは、全ての基本ですもんね。「人からこう見られたい」みたいなことは、あんまり思わないですか?

もちろん「これが自分のスタイルだ!」みたいな時期もあったし、嫌なことがあって“女っぽく”見られたくないなって思っていた時期はスケーターみたいなファッションをしたり、逆に肌の露出が多いスケスケな服を着て、見てくる人に対して「何見てんだよ?」みたいに尖っているときもありました(笑)。

でも今は「別にどう見られてもいいか〜」「勝手にラベリングしてくれ〜」みたいな感じで、かなりピースで柔らかくなりましたね。一時的に嫌な影響を受けたとしても、その経験があるから今の自分のスタイルに到達したんだと思います。

image

――心境が変化した理由ってありますか?

balaというクルーをやっていく中で、同年代のいろんな女の子たちと話しをして、自分がその子たちを好きになったときにその子たちのスタイルを自分の基準だけで考えて「かっこよくない」って言いたくないなと思ったのがきっかけです。

自分たちは3人組の女の子なので「アイドル」って言われることもあって、最初はそれがめっちゃ嫌だったんですよね。でも同じ事務所にはアイドルをやってる子たちもいて、その子たちと話しをするとめっちゃかっこいいんですよ。そこで「アイドル」に対する見方が変わって、アイドルはかっこよくないって思い込んでいた自分が逆に恥ずかしくなって。

だからどう見られても自分の中でこうだっていうものがあれば変わらないし、やっぱり頑張っている人とか自分を持っている人は何をやってようが、何を着てようがかっこいいなって思います。

――ありがとうございます。では最後に、そんなサニーさんからユースの読者に向けて、人生のやりたいこと・好きなことを見つけるためのアドバイスがあれば聞かせてください。

好きなことを見つけるのはやっぱり自分の心と会話しなきゃですよね。何が自分の心をワクワクさせてくれるのか、何が好きなのかってなかなかわからないので、まずはそれを知ることを一番やった方がいいと思います。あとめっちゃ落ち込んでいても、外に出た方がいいと思う。思いもよらぬところから好きなことが見つかるかもしれないです。でも気張らず、焦らず、ですね。

あと今まとまった作品を作っていて、それは応援歌みたいな気持ちで書いてるので、それをたくさんの人と一緒にフィールしてつながれたらいいなって思います。

It should be fine! 気張らず焦らずいこう★

RELEASE INFORMATION

SUNNY ONLY 1 「Utopia」

リリース日:2024年5月31日(水)
配信リンク: https://orcd.co/so1_utopia

Text:赤井大祐
Photo:Domu
Edit:那須凪瑳

author's articles
author's articles

author
https://d22ci7zvokjsqt.cloudfront.net/wp-content/uploads/2023/03/001-EDIT2.png

Beyond magazine 編集部

“ユースカルチャーの発信地“をテーマに、ユース世代のアーティストやクリエイター、モノやコトの情報を届けるWEBマガジン。
more article
media
新宿からわずか90分で行ける釣りビギナーの楽園 
エンタメ
date 2024/11/22