もし、内閣総理大臣になれたとしたら、どんな政策を掲げるだろう? 日頃からモヤモヤしていることや、現実的ではないけれど「あったらいいな」と思うこと。ぜんぶごちゃまぜにして、思いきって発信してみよう!
今回、理想の政策を教えてくれたのは、芸人コンビ「フースーヤ」の田中ショータイムさん。彼が掲げたのは、まさかの「ダジャレ内閣」。語感のよさに全力でこだわったという政策。その運用方法までしっかり(?)教えてもらいました。

田中ショータイム
1993年生まれ。神戸市出身。吉本興業所属。
2016年、谷口理と芸人コンビ「フースーヤ」を結成。唯一無二のギャグ漫才スタイルで、大阪のよしもと漫才劇場を中心に活動中。2024年NHK「第54回NHK上方漫才コンテスト」優勝。趣味は、アニメ、KPOP、ファッション。
Instagram:@fsy_tanashoryu
X:@fsy_tanakadesu


ボロネーゼを食べた人にだけかかる税金です。申し訳ないんですけど、消費税10%にプラスして「ボロネー税」がかかってきてしまいます。いわゆる二重課税です。すみません。
たぶん、ボロネーゼが大好きな人から「カルボナーラだけずるい」みたいな声があがると思うんで、ボロネーゼ以外のパスタは、気づかれないように味を控えめにしていきますね。その代わり、ボロネーゼは死ぬほどうまくして「まあしゃあないか」と納得してもらいます。
ちなみに、冷凍食品のボロネーゼは特別に非課税です。ボロネー税がかからないボロネーゼ!

ふだんの生活で「ちょっとしんどいな」って思うとき、あるじゃないですか。そんなときに、心を奮い立たせてくれる本を読んだり、誰かからアドバイスをもらったりして、「よし、頑張るかあ」って思ったら、そこで「さぁ頑張ろう税」がかかってしまいます。
そんな税金があったら、日本人の元気がなくなるんじゃないかって心配されそうですけど、この税を導入したらエンタメとか、人を頑張らせようとする側の力も強くなっていくはずなんで、国民は嫌でも明るい気持ちになってまうと思います。
徴収は、前年に「頑張ろう」と思った回数に応じて、住民税みたいに通知書がくるとかですかね。1回1000円換算で、その合計額の5%とか。僕の場合、漫才の前に「頑張ろう」って思うんで、けっこう取られちゃいますね。

長いこと片思いしている人にかかってくる税金です。片思い歴が4年目に突入したタイミングから発生します。たとえば、大学で出会って社会人になってもその人のことがずっと好き、みたいな場合ですね。
やっぱり僕としては「そんなに思い詰めんでええよ」って思うんですよ。だから「あんた、まだあの人のこと好きなん?」っていうちょっとしたツッコミというか、優しさの念を込めて、この税をかけます。
税金は、毎月1000円。片思い歴が1年更新されるたびに、前年より10%ずつ税金が上がっていく感じです。だから、5年目は毎月1100円、6年目は1210円。じわじわ効いてきます。

やっぱりコーラの蓋を捨てるのは見過ごせへんなってことで、この税金はスギちゃんだけに払ってもらいます。コーラの蓋を捨てるって環境にも悪いし、教育的にもよろしくないですから。
で、この税金、スギちゃんの営業のギャラから25%いただきます。スギちゃんが働けば働くほど税収も増えるんで、おそらく国は、スギちゃんにどんどん仕事を与えるでしょうね。結果、スギちゃんは稼げるし、国も潤うし、日本中がスギちゃんのライブばっかりになってくと思います。
ちなみに、もしスギちゃんがコーラの蓋を捨てるのをやめたら、「やめてやった税25%」が発生します。どっちにしろ逃げられないです。ワイルドな政策ですね。

髪色を変えたり、ダイエットをしたり、いわゆる変身した人が払わなあかん税金です。人から「変わったね!」と言われた瞬間、申告義務が発生します。ちなみに「変わったね」って言われたかどうかは、粒子レベルの監視カメラで見られるんで、不正できないです。
ただ、「あれ、なんか変わった……?」ぐらいの変身は、いわゆる“抜け道”で課税対象外です。たとえば、2〜3キロずつコツコツ痩せて、1年後に気づいたら垢抜けてた、みたいな。
課税率は、変身にかけた費用の15%で、税額の上限は15万円。高校生とかは特にイメチェンしづらくなるでしょうけど、そのぶん変身した人はその勇気をたたえられると思います。「お前すごいな、逆にかっこいいわ」みたいな。

息が切れたらかかる税金です。対象は高校生。先生が見てて、「あいつ、今ぜいぜい言うてたな……」って思われたら課税対象です。
やっぱり息が上がるってことは、基礎体力が足りてないってことなんで、「ぜい税」を取られないぐらい強い体になってほしいなと。あと、社会に出る前の教育的な意味で、「走らないで済むように余裕持って行動しよう」っていうメッセージも込めてます。
ちなみに、このぜい税は学食に2%課税されます。息が切れた回数分、ふだんの昼ごはんがちょっと高くなります。

カラオケで「マシンガーZ」を歌うと、デンモクで検知されて、カラオケ代にマシンガー税5%がのっかってきます。
でも税金がかかるとみんな歌わなくなるから、テレビとかTikTokでこの曲を話題にして、歌わざるを得ない状況を作り出しますね。ちょっとした闇の手段ですけど。

これもマシンガー税と同じです。「残酷の天使のテーゼ」はカラオケの定番ということで、税率は高めにしてます。申し訳ないです。
でも、デモが起きそうなんで、徐々に下げていきますかね。
最初は50%でスタートするけど、「ふざけんな!」って国民から反対されて、会見で「すいません、40%に下げます」って言って。それでもまだ高いって言われて、「もうこれ以上は無理です」と言いながら30%に下げて、さらに「これが限界です」って20%まで下げて、最終的には10%にします。5%にはしないですね。

やっぱり猫背って、小学生のうちから矯正しておいたほうがいいと思うんですよね。だから、猫背の人にかかる税金をつくります。
猫背かどうかは自分で気づいてほしいので、あくまでも自己申告制で。小中学生の場合は、親が申告する感じです。
税金の仕組みはどうしようかな。たとえば、ふるさと納税みたいに100円〜100万円まで自由に納められて、そのうちの25%が最終的に税金として徴収される……とかにしますか? それで納めた金額に応じて、マッサージや整体、矯正グッズなどが返礼品としてもらえる、みたいな。あれ、意外といい政策なんじゃないですか?

これまで集めてきた税金で、国がラブホテルを買い取って運営します! 料金は完全無料、ルームサービスもつけます。
目的はもちろん、少子化対策。「国がそれやる?」って思われそうですけど、それぐらいやらなあかんのかなって思います。
「誰が、どんな政策を打ち出すか」って、やっぱりめちゃくちゃ大事やと思うんです。だったら僕も、“ダジャレを愛する者”として、自分なりのスタイルで立ち上がってみようかと。
それで考えたのが、日本一しょうもない「ダジャレ内閣」。正直、ダジャレってこれまで理由とか考えたことなかったんですよね。いつも語感とかノリで考えてるんで。
でも今回、ダジャレでつけた政策の中身を真剣に考えてみたら、「あれ、意外となんとかなるやん」って思いました(笑)。
Text&Edit:しばた れいな