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ファッション

機能性とバリアフリーを両立

僕がナイキの「フライイーズ」を愛してやまない理由

author: 神津文人date: 2022/07/12

おすすめのランニングシューズや、好きなスニーカーを問われると、正直答えに困ってしまったり、数を絞れなかったりするのだけれど、もしシューズに関係する好きなテクノロジーは何ですかと聞かれたら、迷わずナイキのフライイーズだと答えるだろうと思う。新しいシューズがフライイーズ テクノロジーを採用していると聞けば、どうしても一度試してみたくなる。自分にとっては、そんなテクノロジーだ。

フライイーズ テクノロジーを搭載したシューズで最も認知度が高いのは、おそらく2021年の2月に登場し、SNS上でも話題になった「ナイキ ゴー フライイーズ」だろう。シューズを履くときは、大きく開いた開口部から足を入れて体重を乗せるだけ。シューズが蝶番のように動いてフラットになり、アッパーは自然に足にフィットして踵がホールドされる。脱ぐときには、踵の後方にあるキックスタンドを踏んで、開口部を広げて足を抜くという仕組み。つまり、完全にハンズフリーでシューズの着脱ができるということ。

ナイキ ゴー フライイーズ
ソールが蝶番のような構造になっている。足を入れて体重を乗せるとフラットに。

サンダルだってハンズフリーじゃないかと思うかもしれないが、シューズとサンダルでは機能性が大きく異なる。シューズが自由に選べるのに、サンダルでフルマラソンを走りたいと思う人はいないはずだ。高い安定性とクッション性、足とシューズの一体感、快適なフィットなどを実現しながらも、ハンズフリーで着脱ができる。機能性とバリアフリーを両立しているのがポイントなのだ。

フライイーズ テクノロジーを搭載したシューズが初めてリリースされたのは、2015年のこと。開発のきっかけは、脳性まひによって手足に障がいがある青年からの手紙。そこには以下のように書かれていた。

私の夢は、毎日誰かにシューズの紐を締めてもらわなくてはいけないという心配をさせずに、自分の好きな大学に進学することです。私はこれまでずっとナイキのバスケットボールシューズを履いてきました。歩くために足首の支えが必要なので、このタイプのシューズしか履けないのです。16歳になり、私は自分1人で洋服を着ることはできますが、今でも親にシューズの紐を締めてもらわなくてはなりません。自分で自分のことを全てできるようになりたいティーンエイジャーとして、これは不満と思うと同時に、時に恥ずかしくも感じています。

そして現在、フライイーズ テクノロジーは、進化をしながらいくつものシューズに搭載されるようになっている。誰もがスムーズにシューズの着脱をできるようサポートするフライイーズ テクノロジーは、決められた特定の形があるわけではなく、シューズの持つ機能や特性に合わせて、さまざまなタイプが存在する。筆者の私物からそのいくつかを紹介したい。

今年4月に発売された「ナイキ エア ズーム ペガサス 39 フライーズ」は、新構造のフライイーズ テクノロジーを搭載したシューズだ。

ナイキ エア ズーム ペガサス 39 フライーズ

中足部を覆うバンドと4本のフライワイヤーが連動するテントのようなシステムを採用。足を入れるシューズの開口部を大きく広げることができ、そのうえでランニングシューズに必要なシューズと足の一体感、快適なフィット感を実現している。ペガサスは来年40周年を迎えるロングセラーで、ファンランナーからトップアスリートまで、幅広いランナーに愛され続けてきたモデル。フライイーズの採用により、シューレースを結ぶ・解くというバリアをなくし、より多くの人がランニングを楽しむことをサポートしようとしているのだ。

4本のフライワイヤーとバンドが連動する仕組み。

同じランニングシューズでも「ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト% フライイーズ」に採用されているフライイーズ テクノロジーは、ペガサスのものとはだいぶ違う構造だ。

ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト% フライイーズ

踵を踏むようにしながら足をシューズに滑り込ませるステップエントリーを採用。足をシューズに入れ、足首近くのループを引くと連動しているワイヤーが締まって足がホールドされる。シューズを脱ぐときは、つま先近くのループを引いてフィットを緩ませればOKだ。

ステップエントリーを繰り返すと踵がダメになってしまうのではと思う人もいるかもしれないが、もちろんそんなことはなく十分な耐久性がある。走っていてもシューレースがないことに不安を感じることはないし、一般的なランニングシューズと比較しても中足部のホールド力は高いのではないかと思う。

シューズを履いたら“LOCK”、脱ぐときは“RELEASE”のループを引く。

「ナイキ グライド フライイーズ」は、日常使いに愛用しているシューズだ。踵を踏みながら足をシューズに滑り込ませ、足入れが完了すると、自然に踵部分が立ち上がり、足全体を包むようにアッパーがフィットする。スピーディーな着脱と快適なフィットを実現した、次世代のスリッポンとも言えるようなモデルだ。

シューズの重量の20%以上がリサイクル素材で構成されている点も見逃せない魅力だろう。

踵を少し踏みながら足をシューズに滑り込ませれば、自然にフィットする。

シューレースを結ぶ・解くという行為が、アクティビティや外出を楽しむことのバリアになってしまうのはとても残念なこと。バリアフリーかつ高機能なシューズが当たり前の存在になることは、多くの人の助けになるのではないかと思う。

また、ランナーの方の中にもレースの時以外はシューレースを結ぶ・解くが面倒で、シューレースを結んだまま脱ぎ履きをして走っているという人もいるのではないだろうか。それではシューズの機能は存分に発揮されないし、足とシューズが一体化しないことで思わぬケガをすることもある。心当たりがある方は、ぜひ一度フライイーズ テクノロジーを採用しているモデルを試してみてほしい。

今後のフライイーズ テクノロジーの進化と採用モデルの増加、そして他メーカーの競合テクノロジーの開発にも期待したい。

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ライター・編集者
神津文人

雑誌編集者を経てフリーランスに。「Tarzan」などのヘルス&フィットネス系メディアや、スポーツの領域で活動中。「青トレ」(原晋/中野ジェームズ修一著)、「医師も薦める子どもの運動」「医師に運動しなさいと言われたら最初に読む本」「60歳からは脚を鍛えなさい」(中野ジェームズ修一著)、「100歳まで動ける体」(ニコラス・ペタス著)、「肺炎にならない!のどを強くする方法」(稲川利光著)、「疲れない体になるライザップトレーニング」(RIZAP)などの書籍の構成も手掛けている。趣味は柔術、ときどきランニング。
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