ニトリは、家具、カーテンやシーツなどのファブリック類、食器類などに加え、新たな主力として家電製品もいろいろ開発しています。10万円を切るドラム式洗濯乾燥機が話題になりましたが、今回は6gで奥行き45cmのドラム式洗濯機。乾燥機能はついていません。通常の洗濯のほか、温水洗浄機能を備えて49,900円。置いてみると、洗濯機本体の上にものが置けてサニタリー空間がすっきりしますし、ブラックカラーの洗濯機が空間を引き締めてちょっとうれしくなります。6kg容量は、一人暮らしでいうと1~3日分の洗濯物が洗えます。さらに毛布やシーツも洗えるサイズ。実際に使って、スペック表だけでは分からない機能面をチェックしました。
製品概要
洗濯容量:6kg
乾燥容量:なし
主な機能:乾燥フィルター自動洗浄、温水洗浄、低騒音設計
価格:49,990円(税込)
約幅60cm×奥行き45cm×高さ87cmのドラム式洗濯機。薄型なので搬入経路を確保しやすく、一人暮らしの部屋の一般的な防水パンは幅640mm×奥行640mmにも設置できます。6kgサイズは、1人~2人暮らし向きのサイズですが、毎日洗濯したり、1日に何度も洗濯するなら4人家族でも良さそうです(1人当たりの洗濯物の量を1日1.5kgとして計算)。乾燥機能がないため、部屋干し·外干しをする人向けです。
1)サイズと設置性
「空間が引き締まるブラックカラー」
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カラーのほか、ホワイトも用意しています。扉の開きは左開きのみ
「節水」「衣類へのダメージが少なく洗濯できる」というドラム式ならではの良さを備えたコンパクトサイズのモデル。洗濯使用水量は同容量の縦型洗濯機と比較して「約4割と節水」とのこと。乾燥はできませんが、部屋干し時間の軽減が期待できる「部屋干しコース」、気になる汚れをしっかり洗う「温水洗浄コース」などこだわりの洗濯コースを備えています。
本体カラーはホワイトとブラック。今回はブラックのモデルを選びました。最近はブラックの縦型洗濯機も増えてきましたが、ドラム式のブラックはランドリー空間が一層スッキリします。着替えや洗剤などをドラム洗の上に置けるところもポイントです。ランドリー空間は収納場所が限られていることが多いので、ものを置けるちょっとしたスペースはうれしいです。
「防水パンのサイズは事前にチェックしよう」
奥行きがスリムなので廊下の運び込みや部屋の扉に引っかかることもなく搬入はスムーズでした。しかし、奥行きがスリムということは脚の間隔が狭いということで、防水パンの位置によってはかさ上げ台が必要になると感じました。我が家の防水パンは広めで設置スペースに余裕があったのですが、洗濯機の脚を置ける範囲が狭くちょっとずれると脚が置き台から外れ、ドラム洗が防水パンに落ちてしまいます。そのため脚の置き場所を慎重に調整しました。購入前に防水パンの内寸や置き台の場所を計測することを強くオススメします。
取り扱い説明書か、製品サイトにドラム式洗濯機の脚の位置図と寸法が書いてあるとわかりやすいと思いました。
付属の排水ホースは長め。ややかための素材なので余ったホース部は排水部に合わせてカットすると収まりがよいです。また、使っている時には気になりませんが、本体側面に持ち手がないため、搬入の際に持ちにくそうでした。
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奥行きがスリムな分、防水パンの内寸などを事前に計測しておくこと安心。我が家の場合はギリギリの位置に設置できました。場合によっては、かさ上げ台などが別途必要になるかも
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今回はお借りしているので排水ホースはそのままですが、実際に自宅で設置するとなったらはみ出ている部分は設置時にカットしてもらうと周辺の掃除がしやすくなりそう
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ステンレス槽で清潔感があります。灰色のバッフルが洗濯物を上部方向に持ち上げます
薄型のボディなのでドラム槽が薄いです。縦型の洗濯機だと底の方の洗濯物を取り出す時にぐっと手を伸ばすことがありましたが、これなら洗濯物がすぐに取り出しやすいと感じました。ただ、狭いからか、たまにドラム槽の上方に洗濯物が挟まることがあります。また、洗濯物をたくさんいれていると扉を開けた時に弾みで衣類が落下することがあるので、洗濯後は槽内や周囲をチェックしていました。
2)容量と取り出しやすさ
「毛布も洗える意外と広い」
洗濯容量は、標準コース、部屋干しコース、温水洗浄コースが6kg以下、スピードコース、スチームケアコース、手洗いコースが2kg以下、毛布が3kg以下です。容量6kgというとちょっとピンとこないのですが、下の衣類の量で約2kg。これに、下着類や靴下類を入れても余裕があります。
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バスタオル3枚、ワイシャツ、フリース、パンツ、ワンピース、スウェット。これで大体2kgでした
毛布や掛け布団などを洗える毛布コースを備えているので、寝具をケアしたい時にも安心。1枚ずつ洗うことになりますが、マンション暮らしでは部屋やベランダに干すスペースがそれほどとれないため、1枚ずつで十分だと思いました。毛布を入れるとドラム槽は目一杯になりますが、もちろんちゃんと洗えていました。
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シングルサイズなら150cm×210cm以下、ダブルサイズなら180cm×230cm以下の毛布が洗えます
3)洗浄性能
「豊富な洗浄コースに注目」
いろいろなコースがありますが、特に重宝したのが「部屋干しコース」と「温水洗浄コース」です。
「部屋干しコース」は、すすぎ時に温水を使用するコース。洗い上がった洗濯物はほんのり温かいので、水で仕上げた時に比べて水分の蒸発が早く、その分部屋干しの時間を短縮するというもの。冬の寒い日でも洗濯物が温かいので干す時に手が冷たくならないというのもうれしいです。
洗濯時間で比較すると、「標準コース」の所要時間目安は約30分、「部屋干しコース」の所要時間目安は68分。さらに脱水回転数は「標準コース」が800回転で、「部屋干しコース」が1,000回転。「標準コース」で仕上げると、少し脱水が弱いと感じるくらい水分が残っています。布傷みやシワを軽減したい場合は「標準コース」の方が向いているとは思いますが、室内干しをするなら「部屋干しコース」の方が早く乾き、その分ニオイの発生などの心配がなく使えました。
続いて「高温洗浄コース」です。「高温洗浄コース」を選ぶと40℃の温水で洗濯をします。水で洗う時よりも温水の方が洗剤がよく溶けますし、洗剤成分が活性化すると言われています。試しにコーヒー、ケチャップ、醤油、カレーをカットソーに染み込ませて洗ったところ、ケチャップとカレーは色素は抜けていましたがシミが少し残りました。洗濯機に入れる前に洗剤を塗布した上で「高温洗浄」すると、よりキレイになりそうです。
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左上から時計回りにしょうゆ、カレー、ケチャップ、コーヒーをカットソーに塗布
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カレーやケチャップは少し輪郭が分かりますが、下洗いや洗剤の塗布をすればもっと落ちそうです
日常的な洗濯のほか、衣替え前に使えば皮脂汚れなどをすっきりさせた状態でしまっておけます。
「使いどころが難しいスチームケアコース」
「洗剤を使わずに、蒸気の力でにおいを低減するスチームケアコース」がありますが、これは使いどころが難しいコースでした。
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ダイヤルでコースを選びます
公式サイトでは「洗いにくいコートなどのニオイを軽減する」とあったので、ジャケットやコート、カバンや帽子など家庭での洗濯に向かないものに使えるのでは?と期待していたのですが、実際使ってみるとスチーム後に脱水をかけ、しかも「標準コース」よりも強い1000回転数の脱水をかけます。「スチームケアコース」後の衣類は湿った状態で仕上がります。試しに脱水を途中で止めるとかなり水分を含んで、そのまま着るのは難しい状態です。
取り扱い説明書には、このコースに使ってよい衣類、向かない衣類の記載がなかったためサポートに電話して確認したところ「手洗いができる衣類が目安」と案内されました。これは取り扱い説明書や、製品ページにぜひ記載して欲しいと思いました。
さて、使って良い衣類が分かったので洗濯可能なジャケットを「スチームケアコース」にかけてみました。丁度収納から出したばかりでニオイが気になっていたのですが、コース終了後はスッキリしました。
「スチームケアコース」はあくまでニオイケアが目的なので、汚れを落とす時は別途洗濯が必要です。また1回あたりの時間目安は2kgで60分。コース終了後は衣類が湿っているので、干すことになります。
焼肉などの後に、ニオイが染み付いた衣類のニオイケアだけをしたい...というときに使えそうですが、コースが1時間かかることをふまえると、時間がある時に使うと良さそうです。
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スチームでニオイをケア。扉が少し曇っています。窓を触るとほんのり温かいです
4)操作性
「コース選択はわかりやすいダイヤル操作」
操作部はダイヤルとボタン。コース選択はダイヤルで行い、水温や時間設定など細かい設定はボタンで行います。文字は小さめで、ゴチャゴチャした印象を与えません。チャイルドロックもボタンの長押しで設定します。操作はシンプルですが、どのコースで何のカスタマイズ設定ができるかを知りたい時は、取り扱い説明書で確認します。洗剤は液体洗剤、酸素性液体洗剤、柔軟剤、粉末合成洗剤、粉末漂白剤を入れることができます。本体の左上方の洗剤ケースは手前から引き出せ、入れやすいです。
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洗剤ケースは引き出し式で注ぎやすい
「水温、脱水の回転数、時間はコースごとに設定できる」
洗い時間、水温、脱水時間、すすぎ回数はコースごとに設定できます。例えばスピードコースなら水温を20℃、30℃、40℃、常温。すすぎは0回から4回、すすぎ回転数は0、400、600、800、1,000回転と細かく調整できます。高温洗浄コースは、通常40℃ですが常温、30℃、60℃に設定可能です。
洗濯中の音は静かですが、脱水時は回転数が多い時には振動があります。ランドリー空間の扉を閉めれば気になりませんが、自宅の状況や時間帯によっては脱水の回転数を抑えたり時間を短くする設定をしても良さそうです。
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すすぎ回数は最高1,000回まで設定できる
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高温洗浄コースは、60℃の設定も可能
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洗濯終了の予約時間は最大24時間設定できる
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鍵に子供がついているのはチャイルドロックのアイコン。ボタンの長押しで設定できる
5)お手入れ
槽洗浄コースを搭載
お手入れは週に一度程度、排水フィルターを外して水で汚れを洗い流すよう案内されています。排水フィルターを外すのにマイナスドライバーが必要で、カバーを開けた後は排水管内の残水が出てくるため、水を受ける容器を別途用意する必要があります。縦型洗濯機のリントフィルターのように簡単に着脱できないです。また、毎回パッキンの糸屑や水滴の拭き取り、衣類が挟まっていないかをチェックする必要があり、慣れが必要です。
カビを予防するコースなどは特に設けてありませんが、市販の洗濯槽クリーナーを使った洗濯槽の洗浄のコースがあります。
他社製品との比較
「一人暮らしにも最適。温水洗浄が嬉しい!」
温水洗浄ができる洗濯機のほとんどは乾燥機付きのタイプ。乾燥なしで温水洗浄機能を備えているモデルはまだ少なく、一人暮らしの部屋にも置けるサイズで温水が使えるのは魅力的。部屋干し用のコースやスピードコースなど、衣類や状況に合わせてコースが選べます。ダイヤル選択で直感的に操作できるので、コースの使い分けもしやすいでしょう。
コンパクト設計なので、大型家電にみられる「せっかく買ったのに搬入できない、設置できない」というトラブルを軽減できます。また、ランドリー空間が狭くても、ドラムの上に置けるので、スペースを有効活用でき、実は一人暮らしのようなスペースに限りがある部屋の方がドラムの形状が向いているかもしれないと、気付かされました。
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洗濯機を置く場所はスペースが限られているからちょっとした置き場所が確保できるのはうれしい
ドラム式乾燥機の場合、乾燥することでタオルがふんわりしますが、本機の場合はドラムでたたき洗いした後干すためパイルが寝たまま。そのため、タオルはゴワつきがちです。柔軟剤を使えば軽減されます。
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ドラム式の洗い方は上から落とすたたき洗い。そのためタオルのパイルが寝てしまい、ごわついた仕上がりに
家電のプロによる評価
「洗い方の選択肢が豊富。家電に慣れていない人にも操作しやすい」
コンパクトで設置性と搬入に優れており、スペースを有効に使えるドラム式洗濯機。洗浄コースを複数用意し、さらにそれを選びやすいダイヤル操作にしているので、家電に詳しくない人も迷わず使えるでしょう。体を拭いただけのタオルはスピードコース、汗をかいたシャツは温水でしっかり洗うなど、状況にあわせて使い分けることで布傷みを軽減し、お気に入りの衣類を長く楽しめます。容量6kgと1人暮らしや2人暮らしに丁度良いサイズ感です。ファミリー層は衣類ごとに何回かに分けて洗いたい人向き。まとめ洗いをするファミリー層はもう少し容量が大きい方が安心です。ドラム式のデザインは生活感を抑え、落ち着いたランドリー空間作りの一助となるでしょう。6kgの洗濯機として考えればもっと手頃なものがありますが、洗浄力、洗濯コースのバリエーション、設置性、デザインを考えると魅力的な1台と言えます。
ニトリなら本機と同じ奥行き45cmの洗濯ラックや、似た色調のマグネットで洗濯機に取り付けられる収納グッズなどを購入ができるので、コーディネートしやすいところもポイントです。
フィルターの手入れがちょっと手間がかかること、自宅の防水パンのサイズ感のチェックは忘れずに行いたいです。
Text:伊森ちづる
Photo : 下城英悟