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隠れた傑作として密かな人気!

NB史上、伝説のモデルになりえる「レラート」を知ってる?

author: 南井 正弘date: 2021/10/28

「最近のランニングシューズは派手過ぎる!」という声をよく耳にする。鮮やかなカラーリングのアッパーに、これまたビビッドなカラーのブランドストライプが入ったシューズも少なくなく、大人が履けるランニングシューズは確実に減っているかもしれない。
かといって、復刻モデルでは肝心の走行性能に問題がある。そんな状況に救世主的に登場したのがニューバランスの「レラート」だ。落ち着いたカラーリングと厳選された素材、最新機能を高次元で融合したモデルで、厳しい選択眼を持つ大人のランナーも納得の1足となっている。

直営店限定の「レラート」は2020年代の「M1300」か!?

ニューバランスの「レラート」は、カーボンファイバー製プレート内蔵の高機能ミッドソールを搭載したランニングシューズ。軽く弾むようなライド感を提供するハイスペックなソールユニットに、カジュアルシーンにもマッチするモダンなアッパーデザインを融合した。

昨今のランニングシューズはハイテクをキーワードに、アグレッシブなデザインをまとったプロダクトが大勢を占めている。この状況はシリアスランナーや若年層には問題ないが、大人のランナーにとっては由々しき状況。

かつてはビル クリントン氏を始めとした歴代アメリカ大統領がニューバランスのグレーのランニングシューズを履いてジョギングをしたように、落ち着いたグレーはランニングカテゴリーでもポピュラーなカラーリングであった。そして意外と知られていないことだが、定番の990シリーズはあくまでランニングシューズとして開発されており、最新のM990 V5でも、ランニングすることはもちろんできる。

しかし、同ブランドの他のシューズが持つ、“フューエルセル”や“フレッシュフォーム”といった高機能ミッドソール採用モデルと比較すると、ゆっくりペースなら全く問題ないのだが、ある程度ペースを上げた際のランニングパフォーマンスは少し劣ることは否めない。走行性能に優れたシューズはデザインやカラーリングが好みでなく、落ち着いたカラーリングのシューズは走行性能に満足できない。そんな相反する大人のランナーの悩みを解決してくれるのが、この「レラート」なのである。

落ち着いたトーンのグレーのカラーリングのアッパーは、通気性とフィット感に優れたメッシュ素材を使用している
着地時の衝撃をソフトに吸収し、力強い反発性を着用者に提供するミッドソールを使用。ミッドソール内部にはカーボンファイバープレートを内蔵し、着地から蹴りだしまでのスムーズな連動を実現する

使用されたミッドソールは、“フューエルセル”を思わせるソフトなクッション性と力強いエナジーリターンを兼ね備えたタイプ。カーボンファイバープレートを内蔵しているので、着地から蹴りだしまで、高いレベルの安定性と推進力を提供してくれる。

他ブランドのカーボンファイバープレート内蔵シューズの場合、「頭で考えるよりもペースが上がりすぎて、後半にバテる」という声もあるが、ニューバランスなら(上級ランナー向けの「フューエルセル エリートRC V2」もそうだが)カーボンファイバープレート内蔵モデルでもスピードのコントロールがしやすく、この特徴は「レラート」にもあてはまる。スイスイとペースを上げられ、いままでのランニングシューズよりも楽に走れるうえ、ちゃんとランナーの意識の範囲内。勝手に進み過ぎるということはない。

一方で「レラート」の外観は、ブランドを象徴するグレーを基調にしており、その落ち着いたカラーリングに最近のパフォーマンスプロダクトに多用されるビッグなNロゴを組みあわせた。洗練されたなかにもインパクトのあるデザインは、「カラーリングは控えめだけど、あくまでランニングシューズなので、しっかりと走ることができますよ!」と、シューズがアピールしているようで微笑ましい。

このシューズを8月に入手してから、デザインと履き心地、走り心地の両方を気に入りヘビーローテーションで履いているが、会った人たちからは、「そのニューバランスいいですね!」「そのニューバランスどこで買えるんですか?」「初めて見たデザインです!」と声を掛けられることが多い。

「レラート」は日本では直営店限定モデルということで知る人ぞ知る存在だが、アメリカでは良好なセールスを記録しているらしく、ニューバランスの現会長であるジム デービス氏はレラートをとても気に入り、早くも数足履きつぶしているといい、個人的にはレラートは2020年代のM1300のようなシューズだと思っている。

1985年当時、M1300もENCAPを始めとしたニューバランスの技術の粋を結集した相当尖ったランニングシューズであり、35年後にはレラートも現在のM1300 のような伝説のモデルになっているかもしれない。

製品貸与:ニューバランス

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ランナーズパルス編集長
南井 正弘

1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドのプロダクト担当として10年勤務後ライターに転身。「フイナム」「SHOES MASTER」「OCEANS」「価格.comマガジン」「家電ウォッチ」を始めとした雑誌やウェブ媒体においてスポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズに関する記事を中心に執筆している。 主な著書に「スニーカースタイル」「NIKE AIR BOOK」などがある。「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日走るファンランナー。ベストタイムはフルマラソンが3時間50分50秒、ハーフマラソンが1時間38分55秒。
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date 2024/12/20