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どうせ買うならこれがいい vol.4

ヴィーガンでも、アレルギーがあっても食べられる美味しいアイスクリーム『Harlow ICE CREAM』

author: 日比楽那date: 2024/07/08

たくさんのものが溢れる現代、「おしゃれ」「便利」はもはや当たり前。インテリア、ファッションアイテム、雑貨、食べ物……どれもせっかく買うならエシカルなものが良いと考えている人も多いのでは。

そんなあなたに向けて、本連載では「どうせ買うならこれがいい!」と思えるようなプロダクトやサービスを紹介する。

今回ピックアップするのは、神戸と東京に店舗を構える『Harlow ICE CREAM』。環境や健康に配慮しながら、ベースとなるアイスクリームはもちろん、具材となるチョコレートやクッキー、ジャム、そしてコーンもすべて手作り。さらに、プラントベースのヴィーガンアイスクリームも取り揃えている。お店作りからアイスクリーム作りまで手がける、店主の西田景子さんにお話を伺った。

Harlow ICE CREAM

アイスクリームをこよなく愛する店主が、旅先のアメリカで出会ったクラフトアイスクリームショップをイメージして、2017年、神戸の港に小さなアイスクリームショップをローンチ。日々ハーロウオリジナルの新しいフレーバーを考案中。
Instagram:@harlow_icecream
WEB:https://www.harlow-icecream.com/

ポートランドのアイスクリーム屋さんに憧れて

「20歳頃から8年ほど、スタイリストとして東京でテレビ関係の仕事をしていたのですが、結婚を機に出身地の関西に戻りました。そこで夫が飲食店を営んでいたので私はアイスクリームショップをやりたいなと思い、『Harlow ICE CREAM』を始めました」

もともと、アメリカを旅行するのが好きだったという西田さん。西海岸・オレゴン州のポートランドでおいしい手作りのアイスクリームショップに出会ったのをきっかけに、「いつか日本でアイスクリームショップを開きたい」と思っていたのだという。

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最初にオープンした神戸本店の様子

それから友人の紹介で知り合ったパティシエと共に、2017年に神戸の湾岸沿いで『Harlow ICE CREAM』を創業。次第に西田さんもアイスクリームの作り方をマスター。その後、2022年には東京・広尾に「Harlow ICE CREAM TOKYO」をオープンした。

西田さんによると、神戸のお店はクラシックな雰囲気で昔からそこにあったような親しみやすさが感じられるようなイメージ。一方、東京のお店は都会的で洗練されたイメージを意識したそう。木製の扉が印象的な神戸店とコンクリート打ちっぱなしが印象的な東京店。それぞれ違った雰囲気の佇まいだが、どちらも西田さんのこだわりとセンスのよさが伝わってくる作りだ。

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 東京直営店の様子

内装も、神戸本店はHORA SIGNさん、東京店は関祐介さんと協力し、こだわって仕上げたそう。神戸店にも東京店にも象徴としてある飾り棚に置かれた植物や陶器がお店の雰囲気を彩っている。また、お店の内外が写るInstagramでの発信も、カラフルでポジティブでワクワクする。

素材の魅力を活かし、食品ロスを抑えたアイスクリーム作り

そんな『Harlow ICE CREAM』のアイスクリームはどのように作られているのだろう。

「ミルクベースか、プラントベースか、フルーツベースか、まずはベースを決めます。それからナッツやクッキー、チョコレート、ジャム、果肉など、具材やその合わせ方を考えていきます」

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それぞれの素材の相性や食感の楽しさを確かめながら、試行錯誤してひとつのフレーバーを作るそう。では、素材選びにおいて大切にされていることは?

「お砂糖は有機栽培のきび砂糖やメープルシュガー、ココナッツシュガーなどを使っています。(精製されていない分、)白砂糖よりミネラルが豊富でヘルシーなのがポイント。お砂糖以外の素材も有機栽培のもの、作り手の顔が見えるものを厳選しています。農家さんから規格外のフルーツについてご相談いただくこともあり、食品ロスを減らすために積極的に使っています」

果物や野菜の生産・販売を手がけるDoleとコラボレーションし、エシカル消費の推進と食品ロス削減を目指す「もったいないバナナ」プロジェクトの一環で商品開発を行ったこともある『Harlow ICE CREAM』。

 Doleコラボ時のメニュー

環境に配慮した取り組みの背景について、西田さんはこう話す。

「アイスクリームはもともと、賞味期限が長く腐らないので、廃棄が少ない食べ物です。規格外のフルーツを使うのみならず、皮ごとジャムにするなど一つひとつの工夫でさらにゼロウェイストに近づけたらと思っています」

有機栽培のフルーツが選ばれていることから、皮ごとジャムに使われていても安心しておいしく食べられるのが嬉しい。オンラインショップで買い物した場合は簡易包装で商品が届き、包装材についても自然に還る紙素材を選んでいるという。

ヴィーガン対応のフレーバーも豊富にラインナップ

『Harlow ICE CREAM』のもうひとつの特徴は、デイリーフリー=乳製品不使用のフレーバーが充実していること。

黒ごまと味噌、豆乳で作ったアイスクリームに、竹炭と白ごまでザクザク食感のクッキーを混ぜ合わせたという、なんともヘルシーで栄養価の高いメニューから、大豆や小麦、アーモンドなどのアレルゲンを一切含まない代わりにフルーツたっぷりのソルベまで、豊富なラインナップ。

なかでも西田さんのお気に入りは、「Madagascar Vanilla」。マダガスカル産のバニラビーンズをふんだんに使ったシンプルなフレーバーだ。ココナッツミルクと豆乳を使ったプラントベースのメニューでありながら、しっかりミルキーな味わいをぜひ1度試してみてほしいという。

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 Madagascar Vanillaフレーバー

「最初はアレルギー対応をしたいという思いからヴィーガンメニューの開発を始めました。乳製品を使っていても使っていなくても、変わらずにおいしいことを心がけています。特にこだわっているのはテクスチャー。なめらかなアイスクリームには油分が不可欠なので、ヴィーガンメニューではココナッツオイルの上質な油分でなめらかさを作り出しています」

グルテンフリーのヴィーガンコーンも用意されているため、小麦アレルギーがある人でも楽しめる。アレルギーがあるお子さんやその親御さんからも、嬉しい声が届くそうだ。

「さまざまな方にとって選んでいただけること、そのための選択肢を作ることを大切にしています」

この夏おすすめのフルーツたっぷりフレーバー

アイスクリームを楽しむのにぴったりの季節に合わせて、この夏のおすすめフレーバーも伺った。

「毎年、柑橘系のフレーバーやマンゴーなど夏のフルーツの果肉がごろごろ入ったフレーバーを夏限定として出しているので、ぜひ楽しんでほしいです」

果肉ごろごろのアイスクリーム

毎年違ったシーズナルフレーバーを出すことにもこだわっているという西田さん。

「『去年のシーズナルフレーバーを今年もまた食べたい!』というお声もたくさんいただきます。シーズナルのみならずフレーバー自体にファンがつく印象があって、『ハーロウに来たらこのフレーバー!』と言ってくださるお客さまが多く、嬉しいです」

お店のファンでありながらフレーバーのファンでもあるお客さんが多いのは、こだわりのメニューの一つひとつが深く愛されている証拠だろう。

実は、アイスクリーム以外の商品も扱っている『Harlow ICE CREAM』。中でも西田さんのおすすめはオリジナルのワッフルだそう。

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 Harlow ICE CREAMオリジナルのワッフル

「アメリカのカルチャーを反映した商品のひとつで、グルテンフリー、乳製品フリーの体に優しいワッフルです。毎朝気軽に食べてもらいたいという思いから、ボックスで冷凍ワッフルを販売しています」

『Harlow ICE CREAM』の商品は、神戸と広尾のショップだけではなく、オンラインでも販売されているので全国から楽しむことができる。アイスクリームだけではなく、コーンまでセットで買うことができるのがポイント。もちろん、西田さんおすすめのワッフルもオンラインで購入できる。

さまざまな取り組みの背景に思いが垣間見えるが、西田さんは『Harlow ICE CREAM』を通してどんな価値観を伝えていきたいのだろうか。

「アイスクリームを楽しむチルな時間で気持ちが豊かになったらいいなと思います。あとは、フードロスや環境問題、LGBTQ+など、さまざまなテーマについて、アイスクリームを通して肩肘張らず、さらっと発信していきたいと思っています」

『Harlow ICE CREAM』では、店舗でレインボーフラッグを掲げたり、プライド月間の取り組みとしてレインボーのスプリンクルをトッピングしたり、西田さんの友人であるドラァグクイーンのTシャツを販売したりと、アライとしての取り組みも行われている。

「きっかけはアメリカでの経験と友人に当事者が多いことでした。当たり前に発信して続けることで、無理なく自然に伝えていきたいです」

ひとたび食べれば気持ちがハッピーになるアイスクリーム。「おいしい」や「かわいい」だけでなく、あらゆる人がアイスクリームを楽しめるように、いつでもアイスクリームを楽しめる豊かな社会になるように、そんな願いが込められていると感じる『Harlow ICE CREAM』に今後も注目したい。

Text:日比 楽那
Photo:Harlow ICE CREAM提供
Edit:白鳥 菜都

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ライター・編集者・写真家
日比楽那

2000年生まれ。ライター・編集者・写真家。14歳から役者として活動開始。その後、10代後半から執筆活動を始める。現在は、主にウェブメディアでインタビューやレポートといった記事の企画や制作を担当。ゴールデン街でも働いています。