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どうせ買うならこれがいい vol.6

私たちがいま、『ovgo Baker』のクッキーを食べたい理由。「おいしい」「幸せ」がつくる、未来の当たり前

author: 生駒 奨date: 2024/11/16

たくさんのものが溢れる現代、「おしゃれ」「便利」はもはや当たり前。インテリア、ファッションアイテム、雑貨、食べ物……どれもせっかく買うならエシカルなものが良いと考えている人も多いのでは。そんなあなたに向けて、本連載では「どうせ買うならこれがいい!」と思えるようなプロダクトやサービスを紹介する。

vol.6でシェアしたいのは、ベイクショップ『ovgo Baker(オブゴベイカー)』。ブルックリンのストリートにありそうな店舗&パッケージデザイン、しっとりチューイーな食感のクッキーやざくざくとした食感のアメリカンクッキーが魅力的なこのブランド。おいしさやかわいさの裏側に、「誰もが安心して食べられる」という信念にもとづいたこだわりがあるんだとか。

ユースにも認知を広げつつあるという『ovgo Baker』は、ほかのスイーツブランドとどこが違うのだろうか? 代表の髙木里沙さんに、その歴史からミッションやビジョンまで、価値観のすべてを訊いてみた。

ovgo Baker

すべて植物性、かつできる限りオーガニック、国産の食材を使った焼き菓子を製造・販売するベイクショップ。社名は、“organic, vegan, gluten-free as options”の頭文字から名づけられた。現在、都内に4つの店舗を構える。2022年には国内の飲食店では初となるB Corp認証を取得。翌年に米国法人も設立し、グローバルな展開も見据えて事業を推進している。

WEB:https://ovgobaker.com/
Instagram: @ovgo_official
X: @ovgo_official

『ovgo Baker』誕生秘話。趣味のクッキーづくりが、急成長のブランドに変貌した理由とは

オフィス街であり、下町情緒も残す日本橋·小伝馬町。そこに突如として現れる、ブルックリンの雰囲気をまとったベイクショップが『ovgo Baker』の1号店だ。

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日本橋にある店舗「ovgo Baker Edo St.」

店内にはいい香りが立ち込め、ショーケースには大きなクッキーをはじめとした焼き菓子が並ぶ。温かいコーヒーや紅茶がおいしくなってきた秋口にぴったりな、甘いかたまり。お店を出るころ、あなたの手にはお菓子が詰まったショッパーが握られているはずだ。

都内に4店舗を構える『ovgo Baker』。一度お店を訪れれば、べつの店舗やECサイトも覗いてみたくなる、魅力的な世界観を持つお菓子ブランドだ。そんな『ovgo Baker』の始まりは、友人同士の「週末のお菓子づくり」だったのだそう。代表の髙木さんは当時をこう振り返る。

「商社やコスメブランドなど、それぞれに本業を持つ友人たちで集まって、週末にクッキーを焼いていたのがスタートです。小学校からの幼なじみだったり、大学からの友人だったりという関係性で、本当に楽しんでやっていました。

その時ちょうどコロナ禍で、『お取り寄せグルメ』がブームになっていて。私たちもECサイトでクッキーを販売してみたら、思いのほかたくさんのご注文をいただけたんです。それで、だんだんポップアップストアやファーマーズマーケットにも参加するようになりました」

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ラフォーレ原宿でポップアップをしたり、青山の国連大学前で開催されるマーケットに出店したりすれば、少人数で焼いたクッキーはすぐに売り切れた。ECサイトの注文数もどんどん増加。「セントラルキッチン機能を備えたお店を構える」という決断にいたるのは自然な流れだった。

「ポップアップをよく渋谷区でやっていたので、最初は渋谷や原宿、表参道などのエリアでお店を持てたらいいね、と話していました。でも、当時はまだ趣味の域を出ない活動。一等地にお店を構えるほどの体力はなく、悩んでいた時に紹介していただいたのが小伝馬町の物件でした。

それまでのお客さまに来ていただけるかは不安でしたが、広いスペースと静かな雰囲気が気に入って、ここなら私たちが好きなアメリカンクッキーの空気感を持つお店、ちゃんとしたキッチンがあるお店がつくれると思って、契約を決めました。実際オープンしてみると、地域の人たちに加えてポップアップ時代のお客さまにもたくさん足を運んでいただきました」

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他の店舗の様子。どこも『ovgo Baker』らしさがありつつも、それぞれの街に合った魅力的な店舗作りをされている

こうして、『ovgo Baker』は愛されるベイクショップとして始まっていった。創業メンバーたちは安定した会社員の立場を捨て、迷わず『ovgo Baker』にコミットすることを選んだという。なぜ、その決断ができたのだろうか?

「ポップアップや店舗を持ってからの活動の中で、『本当に楽しいと思えることができている』という、生身の実感があったんです。

メンバーそれぞれがそれなりに大きな企業に所属して、細分化された役割を担当してきていて、中には『この仕事って実際どんな意味があるんだっけ?』と感じながら働く瞬間もありました。もちろん会社員にもやりがいや楽しさはありますが、『ovgo Baker』でお客さまと触れ合って、直接声を聞いたり表情を見たりできる喜びを知ったんです。

それに、『ovgo Baker』でなら、私たちがそれまで見てきた海外のお菓子文化の素晴らしい雰囲気を体現できたり、出会ってきた人たちが抱えていた食へのフラストレーションを解消する取り組みができたりというメリットがある。そのことが、全員の決断の後押しになったんだと思います」

かわいらしい世界観とおいしいお菓子に加えて、スタッフ自身が誰よりも楽しんでいる空間。それが実現できているからこそ、『ovgo Baker』は「選ばれる」ベイクショップなのだ。

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『ovgo Baker』で働くスタッフの皆さん

誰も犠牲にしない「おいしさ」。『ovgo Baker』が掲げる原材料·自然環境へのこだわり

そんな『ovgo Baker』は、「Hapiness For All」というタグラインを掲げている。趣味でクッキーを焼いていた時、「みんなが同じものを食べて笑い合えたらハッピーだよね」と言い合っていたことを、いまも大切にしているのだという。

もちろん、その想いは「おいしいだけ」のプロダクトでは実現できない。『ovgo Baker』は、食の楽しみと社会問題への貢献を真剣に考えているブランドだ。髙木さんは、そのこだわりをこう語る。

「私たちは、『ovgo Baker』を始める以前から食に対していろいろなスタンスを持つ人がいることを肌で感じていました。とにかくおいしいものを食べたい人、ヴィーガンやベジタリアンの人、糖質や脂質を制限したい人、食事制限のある宗教を信仰している人、アレルギーがある人。そして、自然環境や労働環境にも配慮した食品を選びたい、という人ももちろんいます。

そんな中でも、みんな同じ空間で、同じものが食べられたらハッピーなはず。そんな想いが根底にあって始まったのが『ovgo Baker』なんです」

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『ovgo Baker』のお菓子はすべてヴィーガン仕様。卵などの動物性食品を使用せず、プラントベース(植物由来)の材料を使用している。そこにこだわる理由には、食べる人の身体への影響だけではなく、自然環境問題への眼差しがあるという。

「動物性食品は、食品を生産するまでの過程で、温室効果ガスを大量に排出したり、森林伐採や土地·水の大量消費をしたりと環境に負荷をかけがちです。それに対し、私たちのクッキーはバターや牛乳を使わずに、植物性のものを使用することで環境負荷も下げようとしています。実際、どれだけの効果があるのかを数値化するのは難しいのですが、動物性のクッキーと比べてどれくらいCO2の排出量を減らせているか、というのを第三者機関に数値化してもらっています。

ただ、お客さまにはそのことを毎回意識してほしいとは思っていません。あくまでも、おいしさや幸せを感じられるお菓子を提供すること。そのうえで、じつは私たちのお菓子を食べることが環境をよくする一助になる、という働きかけを続けていくことが、一番サステナブルな営みなんじゃないかと考えています」

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「オブゴのスマイルクッキー」は、グルテンフリー。ヴィーガン仕様なだけでなく、原材料に特定原材料等28品目不使用のクッキーにもチャレンジ

『ovgo Baker』のクッキーを実際に食べてみると、材料のこと、自然環境のことは頭から消えてしまい、甘美な幸福に満たされる。大きくてかわいい見た目、完璧な食感。日常にある闇や負の感情が、咀嚼とともにざくざくと砕かれていく。

この幸せを享受しながら、何かを犠牲にしないで済む。『ovgo Baker』のお菓子なら、純粋な「おいしさ」をシェアし合えるのだ。

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写真は個人的に購入した「ストロベリーショートケーキ」。うますぎる

ライフスタイルの一部にしたい定番商品から、ホリデー限定アイテムまで。いま食べたい『ovgo Baker』のおすすめフレーバー

さあ、ここまで読んだあなたはもう『ovgo Baker』が気になって仕方がないはずだ。最寄りの店舗を調べたり、ECサイトでメニューを見たりしているだろう。ラインナップ、めちゃくちゃいっぱいあるよね。どれを買えばいいのだろうか?

「定番クッキーで1番人気なのは、やっぱり『インポッシブルチョコレートチップ』ですね。『クッキーが食べたい!』っていう気分になった時に手元にあるとうれしいフレーバーってやっぱりチョコチップかなと思いますし、うちでも創業時から愛してもらっている味です。初めてのお客さまには試していただきたいですね」

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インポッシブルチョコレートチップ(380円)

「個人的な好みで言うと、『抹茶ココナッツ』がもう最高。弊社の抹茶は香りがすごくいいんです。食べるとすっと鼻に抜けて、『抹茶を食べてるなあ』って感じがします。もう病みつきです!」

定番以外の商品は、時期ごとに高速で入れ替わる。スタッフでアイデアを出し合い、そのサイクルを回していくのも運営するうえでの楽しみなのだそう。季節のイベントも全力で盛り上げるのが『ovgo Baker』のスタイルだ。

「11月からのovgoはクリスマス一色です! 毎年出していて大人気のシュトーレンクッキーは、もちろん今年も販売しますよ。ファンの皆さんには楽しみに待っていてほしいです。

今年の新しいフレーバーとしては、『リース オブ オランジェリー』という商品を準備しています。スパイスが効いていて、オレンジピールの香りが抜群です。ぜひお試しいただきたいですね」

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2024年のクリスマス商品。見た目が華やかで、見ているだけでも楽しいクッキーたち

「それに、かわいいキャンディケーンクッキーも販売予定。ほかにもホリデームードを盛り上げてくれるお菓子がたくさん出る予定なので、パーティのお供にぜひ連れて帰ってほしいです」

「みんなに『オブゴって』ほしい」。『ovgo Baker』が目指す未来の「当たり前」

日常生活から、非日常の特別なシーンまで。「楽しい」を「おいしい」で彩りながら、サステナブルな社会への目配せも忘れないのが、『ovgo Baker』の特徴だ。髙木さんは、「老若男女、あらゆる人に食べてもらい、幸せになってほしい」と話しながら、「そのためにユースの力が必要」と語る。

「文化や習慣を新しくつくっていくことって、やっぱり若い人たちが担っていくことだと思う。そういう意味で、私たちが目指す『誰もが楽しみながら、自然環境への意識も持つ社会』という価値観を、ユース世代のお客さまから広めていってもらいたいと考えています。

私の夢を表す言葉として、『オブゴる』という造語を密かに考えていて。『ovgo Baker』のお店に来てお菓子を食べることはもちろん、ライフスタイルの中で環境に負荷をかけない行動をすることを当たり前の文化にしたい。そんな文化や行動を『オブゴる』と呼んで、定着させていきたいなと。お客さまと一緒に、自然な形で『かっこいいライフスタイル』を浸透させていきたいと思っています」

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順調に店舗数が増え、いまでは本場·アメリカやアジア方面への進出も視野に入れているという『ovgo Baker』。ただ、国内でのイベントやマーケットへの参加、ポップアップショップの展開もまだまだ続けているという。今年のクリスマスシーズンは沖縄や渋谷でもポップアップを予定するなど、日本で出合う機会は増えそうだ。

ECサイトはもちろん、『ovgo Baker』がオーガナイズする空間にぜひ足を踏み入れてみてほしい。『オブゴる』の意味が、体感的に理解できるはずだ。

Text:生駒 奨
Photo:ovgo Baker 提供
Edit:白鳥 菜都

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編集者・ライター
生駒 奨

ファッション、アート、映画、文芸、スポーツなどさまざまな分野で編集者・ライターとして活動。企業のオウンドメディアでのコンテンツディレクションにも携わる。好きなものはビーグル犬、洋服、森博嗣の小説、ホラー映画。
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