近年、ロボット掃除機は吸引清掃だけでなく、「水拭き掃除」機能を備えた多機能モデルが主流になりつつある。フローリングやクッションフロアの皮脂汚れ、食べこぼした場所など、従来の吸引では落としきれなかった汚れにも対応できるため、床掃除もラクになる。今回では、注目のロボット掃除機を実際に使用し、水拭き機能を含めた実力を比較。日常使いに適した一台を見つけてほしい。
テストした項目は「吸引(10点)」「水拭き(10点満点)」「障害物の回避性能(10点)」「使いやすさ(10点)」「お手入れのしやすさ(5点)」「アプリの使いやすさ(5点)」の合計50点満点。ゴミは疑似ゴミとして微細な砂、ペットのトイレ砂を用意した。

アンカー・ジャパン「Eufy X10 Pro Omni」の特徴


ロボット掃除機として史上最大となる8000Paの吸引力で、カーペットに絡みついた髪の毛やペットの毛までをパワフルに吸引掃除ができる。加えて、2つのモップにそれぞれ約1kgの圧を加えて「押して拭く」加圧式デュアル回転モップにより、雑巾がけをするような水拭きが可能。
また、Eufy初(※2024年2月時点)となる「全自動クリーニングステーション」を付属。ステーションでのゴミの自動収集からモップの洗浄、45℃の温風でのモップ乾燥までを自動でセルフクリーニングを行う。さらに、「毛がらみ除去システム」を搭載し、ブラシが前後に回転し、ブラシに内蔵された櫛が吸引した人間やペットの絡まった毛をスムーズにほぐす。そのため、掃除機本体のブラシに毛が絡まりにくく、メンテナンスの負担を軽減できる。
Point ①「吸引」


部屋の隅については、他社と比較しても優秀。ただ、広い場所にあったゴミは、少し残ってしまった。大きなゴミははじきとばしているところもあった。
Point ②「水拭き」

液体の汚れを周囲に伸ばしてしまうところもあり、タイヤ痕が気になる。汚れの範囲が多い場所は、複数回拭き取る設定にしたほうがよさそうだ。
Point ③「障害物の回避性能」

障害物や家具に一切ぶつからず、コードなども巻き込むことはなかった。とても優秀で、今回試した中でトップクラスの回避性能だった。
Point ④「使いやすさ」

すぐに取り出せるのは便利だ。ただ、フタの部分は他社と比較すると開閉がかたい。ホワイトで統一しており、スタイリッシュだが、その代わり、タンクは残量が見にくい。
Point ⑤「お手入れのしやすさ」

充電ステーションの下側にあるトレイはやはり多少汚れがついてしまうが、同モデルはモップを洗い、格納する部分を取り外せてお手入れができるので、気になったときにお手入れできる。
Point ⑥「アプリの使いやすさ」
アプリに表示される地図は、他社と比較すると情報量が少ない。吸引や水拭きは3段階から選ぶことができるが、他社は4段階選べることが多いので少々物足りなさを感じる。
10万円を切る価格で優秀、コスパがよいモデル
今回は、微細な砂、トイレ用のペット砂、さらには醤油を床にまいて、実生活に近い形で吸引テストを実施した。結果として、比較的キワまでしっかりとゴミを吸い取れていた。ただし、広い範囲にまかれたゴミについては、わずかに取り残しが見られた。
液体汚れへの対応はやや課題が残る。掃除終了後には、床にタイヤの跡がはっきり残っており、ステーションのベース部分にもタイヤに付着していた液体で汚れてしまった。そのため、汚れていた箇所の周辺とステーションのベース部分は、掃除後に手入れが必要となった。吸引については満足度が高かったものの、水拭きをメインで使用したい場合では少々不安が残る。
一方で、障害物回避の性能は非常に高く、コードの巻き込みや家具への衝突は一度も見られなかった。しかも、10万円を切る価格帯で購入可能なのはこのモデルのみであり、コストパフォーマンスに優れた一台と言える。音も静かなので、夜間も使えそうだ。
外形寸法:本体:約353×327×114mm(本体)
ステーション:約366×480×460mm(ドック)
実勢価格:
9万9990円(税込)
製品貸与:アンカー・ジャパン
Author:石井和美