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ヒートショックにも、備えよ常に。

「家庭用AED」が冬のアウトドアにも欠かせない理由

author: 村田 尚之date: 2021/11/17

冷たくピンと張りつめた空気、そこに漂うかすかな焚き火の匂い…、冬のキャンプは独特の風情があって好きだというアウトドア愛好家も少なくない。さらに近年では冬用キャンプ用品の性能も向上しているので、ちょっとした寒波に遭遇してもテント内では快適に過ごすことができる。
一方、冬キャンプ好きの間で、近年話題になっているのが温度差で起こる心臓や血管の疾患「ヒートショック」だ。山間部など、すぐに救急車も来られないキャンプ場というシチュエーションを考えると、万が一の備えとして『家庭用AED』をキャンプ用品に加えるのが最善策だと思う。

テント内と外気では20度以上の温度差が

ヒートショックと聞いて、すぐにピンと来る人は少ないかもしれないが、これは病名ではなく、急激な温度差により起こる身体的ダメージのこと。多くは冬場の入浴時など、暖かい部屋から寒い浴室、そして湯舟に浸かるなど、血管の収縮により血圧が変動、心臓に負担が掛かることで起こるとされ、心筋梗塞や心停止、脳卒中の原因になるという。

「でも、そんなに一般的ではないよね」と侮ってはいけない。東京都健康長寿医療センター研究所が行った調査(2011年)では1年間に1万7000人がヒートショックに関連した入浴中急死に至ったと推計されている。その多くは高齢者であったが、子供や若者も少なからず含まれており、近年では年代を問わず注意が必要と言われるようになった。また、心肺停止の約7割が住宅で起こっており、入浴時に限らず、10度以上の温度差がある場所はヒートショックの危険があるとされている。

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 薪ストーブは暖かいが、外気との温度差が高くなりすぎるので注意が必要。

では、キャンプはどうか? 近年ではテント用ヒーターや薪ストーブも手頃になり、冬でも気軽にアウトドア活動が楽しめるようになった。こうしたグッズ類の進化もあって、暖かいテント内と外気では20度以上の温度差があることも珍しくない。つまり、冬キャンプはヒートショックの危険をはらんでいるのだ。

キャンプ中に心停止なんて考えたくもないが、そうした事態に備えてこそ安心して大自然を満喫できるというもの。そして、いざという時の備えとして持参したいのがフィリップスの家庭用AED「ハートスタートHS1 Home」(以下:ハートスタート)だ。

本体は成人男性の手よりちょっと大きい程度のサイズ。スイッチ類も整理されており、機能重視のシンプルなデザインだ。

AEDとは自動体外式除細動器のことで、心室細動(けいれん状態)にある心臓を電気ショックにより、正常な動きを取り戻すための機器。日本においては医療従事者にのみ取り扱いが許されていたが、2004年7月に一般市民でも使用できるようになり、駅や学校といった公共施設や企業などに設置されるようになった。そして、ハートスタートはというと、アメリカで医師の処方箋なく購入が認められた初のAEDで、家庭用の先駆けと言えるモデルなのである。

キャリングケースには本体とパッドのほか、非常時に衣類を切るためのハサミも同梱されている。

さて現在の日本では約60万台のAEDが設置されており、使用状況も2009年の1007件から2019年には2158件に増加している。ちなみに、心肺停止発生から1分経つたびに救命率は7~10%下がると言われるが、救急車の平均到着時間は約8.7分。この間にAEDによる電気ショックと心臓マッサージによる心肺蘇生を行った場合、行わなかった場合に比べて生存率は約6倍向上する。こうした数字からもAEDの有効性が理解できるが、手軽に持ち運べる家庭用はまだまだ普及の道半ば…、というのが現状だ。

パッドはカートリッジ式で交換も簡単。本体上部のラッチをスライドするとカートリッジが取り外せる。

何故か?といえば、サイズや価格などの理由があるが、ハートスタートはこうした問題をひとつひとつ丁寧に解決したという。まず、サイズだが幅210mm、奥行き190mm、高さは72mmと、B5サイズ(257×182mm)よりやや幅が狭いといったところ。重量は本体、ケース、胸部に貼るパッドなど、一式で1.5kgなので、女性や子供でも簡単に持ち運ぶことができるし、自宅にも気軽に置けるサイズだと思う。

気になる価格だが、現在はamazonなど、限られた販路のみだが、実勢価格は18万1778円。公共施設や医療機関用に比べるとお手頃だし、ようやく個人でも手が届く価格帯になったと言えるだろう。また、定額モデルでの提供は、株式会社ダイバーシティメディア(月額3980円)が取り扱っている。

家庭用AEDは自宅やキャンプ場でも不安なく使えるのか?

AED本体は身近な存在となっても、緊急時に安全・簡単に扱えるのだろうか?と思う方もいるはず。ハートスタートはこうした点についても万全の対策が取られている。

安全面についてはフィリップスが培ってきた「AEDテクノロジー」を搭載。心臓へのダメージを考慮し、低エネルギーながら除細動に必要な電流を流す仕組みとなっている。また、救護対象者がペースメーカーを装着していても問題なく使用できる。

パットの粘着部に貼られる黄色の台紙を剥がして、図で記された場所に貼り付ける。

加えて、初めてAEDを使う方でも問題なく扱えるように、手順を教える「CPRコーチング(心肺蘇生法の音声ガイド)」も採用している。ケースを開けて電源ボタンを押すと、対象者への対応、電流を伝えるパッドの扱い方など、通常のガイド音声が備わっているのに加え、「i ボタン」を押すことによって心肺蘇生法の音声コーチング機能が起動するというもの。また、電気ショックが必要かどうかの心電図解析もハートスタートが行ってくれるので、使用の可否で迷うこともない。ショック実施後は心肺蘇生法の手順が流れ、2分ごとに解析が行われる。これなら自宅はもとより、キャンプ場でも使用を躊躇したり、操作に迷うことはないだろう。

バッテリーは交換式。本体装着から、未使用の状態で約4年が交換の目安となる。交換が必要な場合は自己診断時にビープ音と音声で知らせてくれる。

こうした機能を知れば、多くの不安は解消すると思うが、子供がいる家庭の場合「幼児にも使えるの?」と気になるかもしれない。子供の心肺停止は決して多くはないが、未就学児の場合では大半が自宅で起こっている。

ハートスタートには小学生~大人用を対象としたパッドが付属するが、別売りで未就学児用パッドも用意。

小学生~大人用パッドを未就学児に使用しても問題ないが、子供がいる家庭や子供に接する機会が多いなら未就学児用パッドも用意しておいても良いだろう(未就学児用パッドを大人に使用すると十分な効果が得られないので使用はできない)。

サイズや価格はもちろん、家庭用に相応しい機能を備えたハートスタート。これまでAEDは外出先での緊急事態に対応するもの、また近くの設置場所から借りてきて使うもの、というイメージだったが、そんな認識を覆す”身近な救急救命アイテム”になったと思う。

家に置く? キャンプに連れ出す?
らば、やっぱりデザインにもこだわりたい

AEDは緊急時の備え、機能がしっかりしていればカタチは二の次と考える人もいるだろう。だけど、あまりに無骨だったり、仰々しければ、収納に困ってしまいそうだし、アウトドアに連れ出すのも敬遠したくなりそうだ。ハートスタートのサイズについては先に触れたが、愛らしいデザインにも注目して欲しい。

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上部にストラップのついたキャリングケースは、コンパクトな旅行用アタッシュケースのようでもあるし、キャンプ用品を収納するツールケースのようでもある。どこにでも携帯はできるが、安定した環境下での使用が大前提ということは覚えておこう。崖などの不安定な場所や、大雨など天候が優れない環境下での使用は注意が必要だ。

ケースはレッド×ブラックの組み合わせに、ホワイトのロゴを配したことで、リビングに置いても違和感はないし、キャンプ用品に埋もれても、ひと目で判別がつく。周囲に溶け込むけれど、すぐに見つかるというデザインのサジ加減もハートスタートの魅力だと思う。

自宅での備えとしてはもちろん、アウトドアを存分に楽しむための”お守り”としても、ぜひ手に取って欲しい、価値のある1台だと思う。

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フィリップス 家庭用AED
「ハートスタート HS1」


サイズ:高さ7.2cm、奥行19cm、幅21cm
重さ:1.5kg(バッテリー・パッド含む)
価格:オープン価格
ハートスタート HS1
医療機器承認番号:21700BZY00426000
特定保守管理医療機器/高度管理医療機器

SMART パッド・カートリッジ
医療機器届出番号:13B1X00221000048
一般医療機器

小児用 SMART パッド・カートリッジ
医療機器届出番号:13B1X00221000049
一般医療機器


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フリーランスライター・フォトグラファー
村田 尚之

1970年、東京生まれ。学生時代から雑誌の編集に携わる。自動車専門誌やメーカー広報誌などを手掛ける編集プロダクションを経て、2002年にフリーランスライター・フォトグラファーとして独立。クルマや旅客機、鉄道など乗り物関連の専門誌やニュースサイトを中心に執筆・撮影。「旅客機・エアライン検定公式テキスト」(徳間書店刊)、「ANAの本。」(誠文堂新光社刊)など、書籍制作にも参加。
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