近年、ロボット掃除機は吸引清掃だけでなく、「水拭き掃除」機能を備えた多機能モデルが主流になりつつある。フローリングやクッションフロアの皮脂汚れ、食べこぼした場所など、従来の吸引では落としきれなかった汚れにも対応できるため、床掃除もラクになる。今回では、注目のロボット掃除機を実際に使用し、水拭き機能を含めた実力を比較。日常使いに適した一台を見つけてほしい。
テストした項目は「吸引（10点）」「水拭き（10点満点）」「障害物の回避性能（10点）」「使いやすさ（10点）」「お手入れのしやすさ（5点）」「アプリの使いやすさ（5点）」の合計50点満点。ゴミは疑似ゴミとして微細な砂、ペットのトイレ砂を用意した。
ロボロック「Roborock Qrevo Curv」の特徴
らせん状で二つに分かれたメインブラシと弧状デザインの非対称なサイドブラシの二つの「毛がらみ防止ブラシ」を採用し、髪の毛やペットの毛をスムーズに除去できるため、毛がからみにくく、お手入れがしやすい。
自動的に本体の前輪を持ち上げることで、最大4cmまでの二層の段差（一層の段差は最大3cmまで）を乗り越えられる。モップとブラシも自動でリフトアップするため、掃除した床を汚すことなく、キレイな状態を保つことが可能だ。
また、ロボット掃除機ではめずらしく、曲線を多用しており、インテリアにも馴染むデザインが特徴。
Point ①「吸引」
端は少し残ってしまっているものの、他社と比較してもゴミの吸引は優秀。大きめのゴミははじき飛ばすこともあったが、広い場所でのゴミはほぼ吸い取っていた。
Point ②「水拭き」
汚れた場所がわからないほど、きれいに拭き取っている。広げていることもなく、ピカピカに。今回試した中ではトップクラスの性能だった。
Point ③「障害物の回避性能」
障害物のキワまで掃除するため、かなり近付く。その結果、細いコードなどはからまったり、ぶつかったり、動かしてしまうことがあった。テーブルの脚のまわり、家具の近くなど、今回試した中では一番近付いて掃除をしていて好印象。
Point ④「使いやすさ」
フタがあり、タンクを収納して隠すことができる。汚水が見えないので部屋の見えるところに置いても不快ではない反面、水タンクの残量がわかりにくい。
Point ⑤「お手入れのしやすさ」
モップを洗浄するベースの部分を外してお手入れできる。ベースは曲線でつるんとしており、さっと拭けばOK。今回試した中でも、お手入れ面では高得点だった。
Point ⑥「アプリの使いやすさ」
部屋の種類や床の状況に合わせて、吸引力や水拭きの強度を自動で調整してくれる「スマートプラン」が特徴。自分で変えたいときは設定で細かく調整もできる。
障害物を巻き込むこともあるが、その代わりキワまで掃除をしてくれる
今回試した中でも、水拭き機能の完成度は非常に高かった。拭き跡を残すことなく、床の汚れをしっかり取り除いていた点は特に印象的である。
吸引力も申し分なくパワフルである一方、キワまで掃除しようと障害物にかなり近づいていく動作が見られた。そのため、床に置かれたコードを巻き込んでしまったり、スリッパが動かされていたりと、やや衝突の多い印象もあった。
しかしそのぶん、他社製品と比べてもキワまで丁寧に掃除している印象があり、「多少当たっても隅々まで掃除してほしい」というユーザーには向いている。細かい障害物を事前に取り除いておけば、非常に満足度の高い掃除が期待できるロボット掃除機だ。
外観は曲線を多く取り入れたデザインで、無機質な印象になりがちなロボット掃除機の中でも、柔らかく親しみやすいフォルムが目を引いた。
タンクの残量がやや確認しづらいという点はあるが、反面、汚水が目に触れにくくなっているため、「掃除の結果をあえて見たくない」と考えるユーザーにとっては利点となるだろう。
お手入れ面においても扱いやすく、日常的に使用するうえでストレスが少ない。機能・デザイン・メンテナンス性のバランスが取れた、総合力の高いロボット掃除機である。
SPEC
外形寸法：本体：352×103mm（本体）
ステーション：450×450×450mm（ドック）
実勢価格：24万1780円
製品貸与：ロボロック
Author：石井和美
