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WAKAYAMAごんぱち家族の移住日記

「移住の価値は心が決める」、だけど家賃や補助金も気になるよね!

author: 利根川 幸秀date: 2021/11/30

「WAKAYAMA」こと和歌山県への移住を本格始動した利根川一家。連載3回目は、東京とは違う地方ならではの金銭感覚と、家の改修作業をセキララに語ってもらいます。ケース・バイ・ケースとはいえ、ちょっとでも移住を考えるなら知っておきたい“お家賃事情”まで、翔んでWAKAYAMAスタートです。

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楽しいことには飛びつき家族でやっていきます!

足かけ5年、やっと出合えたこの新居。家賃も決まって、諸々の手続きも順調に進み、改修箇所も打ち合わせ完了。あとは両親に移住の話を打ち明けスッキリしたら、刺激あふれる日々の幕開けだ。フレッシュ本宮町民に4人増えまーす! 全町民とハイタッチするほど前のめり気分で、元気一番! 何卒よろしくおねがいしまーす!

家賃25000」の我が家は安い?

玄関出るたび、眺めはプライスレス

車を止めて、スロープと石の階段を60mくらい歩って登った所に我が家はある。敷地面積約300㎡、築年数不明(増改築数回)の木造1階建、述べ床面積約45.41㎡の2DKプラス物置。裏庭を隔てて八畳程度の離れ小屋が付いている賃貸物件。家賃は2万5000円だ。

こっちで暮らしていて、知り合った人に家賃を聞かれて答えると、ほぼ100%「高いなー」と驚かれる。毎回そうなので、こちらもそのリアクションにはだいぶ慣れてしまった(笑)。いろいろな田舎物件を見てきた感覚と、建物の状態や設備、大家さんの好意的な対応を総合的に見て、真っ当な家賃だと思っているし、僕たちはこの家賃に納得して住んでいる。

大家さんが家賃の話をしてくれた時に、「2万5000円ですが……いいですか?」と言ったのが、印象的でよく覚えている。あのほんの少しの間と、いいですか?に込められたものが、何を意味していたのかは分からないけど、いろいろな気持ちがあったんじゃないかと、たまに思い出すことがある。

もしかして値切ったら値切れたのかもしれないし、何の意味もなかったのかもしれない。でも結果として僕たちは今、こうして楽しくここで暮らせているのだから感謝している。誰かに「高い!」と言われるたびに強く実感するのは、“自分たちが納得していることが一番大事”ということ。

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ニラをむしって嗅ぐ妻・きみよ

高いねと言われるたびに気にしていたら、田舎だからもっと安いのかも、という思いに気持ちがブレて、「ここから見える眺めが好き」という感覚的価値や、その物件が秘めているポテンシャルの本質を見落としてしまう気がする。ウチの庭に生える自生のニラに比べれば、隣の家の芝の青さなんか、全く気にならないものだ。

田舎の空き家は、十軒十色の現状渡し。

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引っ越し搬入日、新居で荷物を待っている長女・種、長男・今、妻・きみよ

田舎の物件あるある話。移住を考えて情報を集めるようになると、ネットや移住ブログなどで、田んぼや畑、放置された果樹園や家の裏山、大きな土地付物件を10万円で購入したり、「家賃は月/¥5000-で数年住んでくれたら家をあげます!」という話だったりを目にすることがある。

僕たちがこっちに来てから出会った移住者の中には、そういった条件で土地や家を手に入れたり、住んでいたりする人もいるにはいるが、かなり少ないのが現実だ。またそういった条件の物件は、風呂がない、トイレがない(バキュームカーが入れないので、汲みとり不可など当たり前。

入居者が浄化槽とトイレを新設必要で雨漏りがひどく床は腐りシロアリに食われ、廊下のフローリングは抜けていて、ネズミのフンや、大家さんの所有物で溢れているなど、多くの場合、そのまま住みはじめるには、かなりハードルが高いことが多い。

もちろん住める人もいるが、そのタイプはもともと移住スキルが高く、初心者ファミリーが参考にすると大火傷するおそれアリだ。

「田舎に行けば、インスタ映えするような古民家があり、タダ同然の家賃で住める」

そんな空き家に出合えた人は、超ラッキーな人だと思う。ないとは言わないけど、メディアやネットなどで目にするイケてる移住者の家は、その人たちが住んでるからこそ、素敵な古民家やオシャレな雰囲気にリノベーションされているわけで、リノベーション前の状況をみたら驚くほどボロボロだったりするのは割と普通である。

補助金コンボに改修無双で空き家が復活

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補助金で別棟の不用品もスッキリ。友人がテントを張ってお試し滞在


僕たちも入居する際に改修工事をした。空き家の期間が3年くらいだったのでひどい損傷はあまりなく、軽微なもので済んだ。それでも、130万円程度の改修工事をして、県と市のふたつの空き家改修補助金を申請し、約30万円が自己負担となった。この30万円も、賃貸物件だったため、話し合ったうえで大家さんがほとんど負担してくれることになり、僕たちが支払ったのは、こちらから希望して交換してもらった畳代の7万7000円のみだった。

家のことがいろいろ片付き、草刈り祭に突入だ!(著者近影)

補助金については、県や自治体、年度によって内容が変わることもあり、申請するタイミングによって、適用されないものもあるので要注意! また東京23区からの移住者限定のものや、空き家のお片付け補助金など、本当にいろいろあるので補助金等を使うのであれば、よく確認して担当の方と連絡をちゃんと取りあうことをオススメする。

僕が引っ越してきた地域は、移住に力を入れてるエリアなので、行政の方が親切に教えてくれたが、あまり力を入れてない自治体では、制度はあるけどほとんど機能してないケースが多い気がする。移住を考えるなら各自治体のホームページ等のチェックはお忘れなく!


後報告スタイルで、引っ越し宣言。

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長女・種の通っていた保育園最終日。また会う日までバイバーイ!

埼玉に住む僕の両親に移住を伝えるタイミングと、その伝え方はとても難しかった。特に母親は、やがて僕たちが実家そばに帰って来ると想像しているようだったから。いろいろ考えた末、“全てが決まってから伝える”ほぼ事後報告スタイルに決めていた。それが一番ショックが短く少ないと判断して、まず父親に電話で伝えた。

 「久しぶりー、元気?ちょっと報告なんだけど、引っ越すことにしてさー」

「元気でやってるぞ。どこに引っ越すんだー?」

「最初はオーストラリアかタイに引っ越そうとしたんだけど、今回のコロナみたいなことがあるといろいろ大変だから、外国はやめて国内で環境がいい所に引っ越すことにしたんよ。沖縄とかも考えたけど、もっと近い所で和歌山に引っ越すよー」

「えー!なんで和歌山?仕事は?たねの学校は?」

超遠方から、近場に変更したように言いたかったのだが、こうして文字にすると、唐突感と無理やり感がすごく、自分でツッコミたくなるほどだ。この後、さまざまな問答が続き、父親は「お前らが決めたことだから、好きにしたらいい。栄子(母親)には、なんて言うんだ? あいつ寝込んじゃうかもなー……」と言った。

一週間後、賃貸契約書に保証人のサインが必要で、父親に送った書類を母親が見て、我々家族の和歌山移住を知ることとなり、父親の予想通り母親は、人相も変わり一週間ほど寝込んだそうだ。

「大変だぞー!」と、父親からはボヤキの電話が何度かあったが、その後、母親も立ち直り、前向きな気持ちで我々を送り出してくれた。簡単に書いてしまったけど、本当にいろいろと感じる日々だったことは言うまでもない。

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さて、長かったプロローグもこれで終わり。次回からは移住後のライフスタイルについて本格的に書いていきます。

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フォトグラファー
利根川 幸秀

1978年埼玉育ち、99年にインドよりエジプトまで陸路で旅して、途中イスラエルで旅費を稼ぎ、2000年ハンガリーより帰国、その後も東南アジアなどバックパッカーしたのち、職人などを経て、2006年写真家・𣘺本雅司氏に師事。2010年フリーランスとして独立。雑誌、webメディア、ポートレート、家族写真等、多岐にわたり撮影。趣味:川遊び、ダム瞑想。2021年、家族で東京より和歌山に移住。
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