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僕らを超えたキッチンツール

誰も買わないかもしれない包丁とは? “フォーカス”のセンスを磨け!

author: 藤原 奈津子date: 2021/05/29

おしゃれな時計にいい車、グルメ。僕らのセンスは上昇中。きっと、次なる世界が僕らに届く最後の大人センスの階段、それはキッチンツールの世界!誰も買わないかもしれない、手間とコストがかかり過ぎた包丁って、つい欲しくなりませんか?

包丁は、キッチンツールの基本のキにして、アベンジャーズでいうアイアンマン。全ての料理の始まりにして、そのデザインは強さと硬さを兼ね備えたヒーロー、そして知的な身のこなしを生み出すリーダー的プロダクトです。

どんなにおしゃれなインテリアに囲まれていても、キッチンカウンターの下扉を開いて現れる包丁の「サイズ」が三徳包丁なパターン。ドキッとします。丸ごとのかぼちゃ、まな板からはみ出るほど大きな白菜を切るのに便利な刃渡り15~18cmの三徳包丁は、いわゆる「母ちゃん」的な安心感に包まれた馴染みのサイズデザインで、まさに万能な使い心地イメージ。この誰しもが経験する初代包丁「母ちゃん」サイズからの卒業はとても難しく、三徳包丁で終える人生もありかと思うほど。

<左から>ツヴィリング ツイン セルマックス M66ペティナイフ 130 mm/¥ 25,300、ツヴィリング ツイン セルマックス M66 シェフナイフ 200 mm/ ¥ 35,200、ツヴィリング ツイン セルマックス M66三徳包丁 180 mm / ¥ 33,000

料理の上手い下手に関わらず、包丁選びのコツは、まさに目線/肩/肘/手首/手の平から繋がる包丁の切っ先までを「1本」と捉えたデザイン。バルタン星人になったつもりで、利き手側を振り回してみると、このアプローチデザインが体感できます。

実は、生身と無機質を結ぶハンドルのグリップ感と最終点であるブレードの硬さ。プロダクトとしての品質が本質なのです。硬さがない包丁ほど「切る要素」が必要になるので、刃渡りや面広での“ごり押しぶった切り(ジャイアントクラッシュ)”が必要になると感じます。

そう、品質が本質のキッチンツールジャングルで迷子になったら、双子があなたを導いてくれます。あの双子マークで有名なドイツの包丁トップブランド「ツヴィリングJ.A. ヘンケルス」は、カトラリーブランドとして世界最古で、今年290周年を迎える誰もが知るハイエンドな老舗。ツヴィリング包丁は、ドイツ、中国、スペインそして日本の工場で、職人さんによって製造されています。

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ツヴィリングクオリティのトップランナーであり、ドイツ発のテーマに日本ならではのアイデンティティを加え極めたいくつものグローバルモデルを“逆輩出”し続ける岐阜県関市工場。2000年、新たなる野望を持ったツヴィリング史上に残る銘作包丁の開発が進められていました。そして2003年、ついに「誰も買わないかもしれない、手間とコストがかかり過ぎた包丁」として“ツインセルマックス”は誕生。世界的ブランドなのに、日本のこの工場でしか作れない「とんでもない普及品」の、人の手で作られる工芸のような製造過程は、伝統の中に新たなセンスを感じるハイエンドファニチャーのような感動をもたらしました。

この伝説のシリーズの中でも、人生を変えるほどの使い心地を体感できるサイズが「ツインセルマックス M66ペティナイフ」。刃渡り130mm。この切っ先までの距離は、手先をシュッとさせて、ハッケヨイノコッタ-ゴッツァンデス的な感じで上下-手前に振り引きしてみたときの「指先」が感じる感覚のごとく、切り点に視線をフォーカスしてくれます。どこをどんな風に切るのか? に切っ先ピントを合わせられるサイズだから、切る行為に対して導線ガイドになるのです。手に包丁がついてきてくれるから、フレキシブルな身のこなしが可能。すなわち、鍛え抜かれて動きやすい細マッチョ的包丁が、今の僕らに相応しいのです。

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ブレードは、ツヴィリング史上最高の硬度を誇るMC66パウダースチールを使用し、高級刃物鋼で挟み合金化した3層プレートを採用。ハンドルは、エルゴノミック設計により、極上のグリップ感を生み出しています。ツバとエンドキャップは職人の手でミラー仕上げに加工。MC66パウダースチールの最高硬度と職人に委ねられるシュッとしてパパパっな知的な切れ味設計は、大きなものを切ることに対して、刃渡りのサイズ感を超えた未だかつてないアプローチデザインを描いてくれます。最高のペティナイフはフルーツ包丁にあらず。繊細な下ごしらえを必要とするフレンチシェフが、様々な食材に対して美しく手を動かすその先に、一流ブランドのペティサイズのナイフがある事実に、ぜひ刮目頂きたいと思います。

しかも「一生のお付き合い」を前提とし、ツヴィリング各店店頭での無料簡易研ぎ直しサービスはもちろん、至高を求める方には、熟練のテクニカルマネージャーによる研ぎ直し、ハンドルの付け替え「リペア」など有料サービスなどアフターフォローも万全。高級腕時計好きにも通じる、ツヴィリングのこの愛ある在り方は、もはや、キッチンツールからのプロポーズ。僕らも「何でも母ちゃん頼み」を卒業し、いや、同居でももちろんOK!自立した大人として、新しい包丁人生を歩んでみてはいかがでしょうか? 

禅に通じるが如く、思想は内省によりセンスとなると感じます。キッチンツールは、性別に関わらず誰もが手にするプロダクト分野です。日々と向い合い、自分なりに求めるモノを、心踊りながら選び使うことで、そのセンスをモノにできます。そこには、巷の流行り廃りではなく、真摯なものづくりに対する目利きを磨くチャンスがあります。


ツヴィリング ツイン セルマックス M66ペティナイフ 130 mm 

¥ 25,300

  • ハンドルの長さ:118mm
  • 刃渡り:130mm
  • 重さ:0.101kg

取材協力:ツヴィリング J.A. ヘンケルス ジャパン

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栄養士/クリエイティブディレクター
藤原 奈津子

秋田県出身。6種のクリエイティブ職種で第一線活躍し続ける新型フリーランス“ダヴィンチworker”として注⽬される。“ものづくり”の先をデザインする独自の「アプローチデザイン思考法」を軸に、クリエイティブディレクター/コピーライターとして、雑誌広告などで広告賞も受賞。料理研究家として、雑誌、広告、CM、TV、レシピ開発など実績多数。PR広報/ブランディングプランナーとして「もち麦」のブーム構築など、担当ブランドは続々ヒット。しかも、キッチンツール萌えと独自解釈が高じ、おもしろ過ぎるキッチンツールマイスターとして通販番組に出演し完売を連発中。
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