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石井和美の家電やりすぎ比較レビュー<冷蔵庫>

【第5位】アクア「AQR-TXA50P」

author: 石井和美date: 2024/07/21

まとめ買い需要で大型冷蔵庫が売れている。さらに食材を冷蔵・冷凍保存するだけではなく、最近注目されているのは食材の鮮度保持能力だ。たくさん購入した食材は、なるべく状態のよいまま保存したい。そんなニーズにメーカーも応えている。

また、大容量のメリットを活かしつつ、食材が整理しやすいタイプも改めて見直されている。最近では奥行きが狭くなり、背が低い人でも取り出しやすい冷蔵庫が増加。特に冷蔵室にある一番上段の棚は、奥側まで手が届かず、フードロスになることがある。少し容量が減っても、食材の消費期限を見ながら、きちんと整理できるので、ムダを防げるというわけだ。

今回は代表的な6社の冷蔵庫を比較。冷蔵室、野菜室、冷凍室の鮮度保持、使いやすさなどを比較して、総合的に優秀な一台を決めた。特徴をぜひ参考にしていただきたい。

テストした項目は「冷蔵室の鮮度保持(10点満点)」「野菜室の鮮度保持(10点満点)」「冷凍室の鮮度保持(10点)」「使いやすさ(10点)」「お手入れのしやすさ(5点)」「オリジナル機能(5点)」の6項目合計50点となる。

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「AQR-TXA50P」の特徴

「低温」と「高湿」に加え、温度を一定に保つ「恒温化」により、高い鮮度保持力を実現した、鮮度保持機能「ALL FRESH」をチルドルーム、野菜室、冷凍室に搭載。これにより、食材の腐敗や乾燥を抑えておいしさを長く保ち、食べられる期間が長くなることで食材の劣化による廃棄を低減できる。

「W間接冷却チルド」は、専用の送風口からチルドルームの上下に設置したアルミパネルに冷風を当てて冷やし、その輻射冷却を利用してチルドルームを恒温化。食材を上下から挟み込むように冷やせる。チルドルーム内の温度変化を抑えることで食材の傷みの原因となる菌の繁殖を抑え、食材に直接冷風を当てない輻射冷却により乾燥を防いで食材の鮮度を長く保てるようになった。

冷蔵室には天面と庫内奥の全面に設置した大型パネル照明が全体を明るく照らすので、見落としや食材の使い忘れを防ぐ。また、外観デザインは周囲と調和するよう落ち着いた色調やシンプルな形を採用している。扉には特殊加工を施したフロストガラスを使用し、指紋がつきにくい質感となっている。

Point ①「冷蔵室の鮮度保持」

ラップなしで1日経過したサラダ

ラップなしで1日経過したハム

チルドルームでラップなしで5日経過したアジ

サラダは上のほうが乾燥し、縮んでいたが、中心部はしっとりしている。上の乾燥した部分を除けば、まだ食べられそう。ハムに関しては全体的に乾燥しており、まわりが少し丸まってしまった。チルドルームで保存したアジは少し乾燥しており、身が縮んで皮の部分が少し波打っていた。

Point ②「野菜室の鮮度保持」

ラップなしで1週間経過したパプリカと椎茸

ラップなしで1週間経過した小松菜

上の段に入れたパプリカの断面は乾燥気味、椎茸もカラッとした状態だった。ただ、下の段に入れた小松菜は水分を保ったまま。特に内側は濡れているような状態で、少し水分が多すぎる状態で、ビショッとした感じがある。もう少し乾燥した状態にしてほしい。

Point ③「冷凍室の鮮度保持」

ラップして1ヶ月間冷凍

冷蔵室で1日かけて解凍

解凍後のドリップ

他社は美味しく冷凍するために、食材の置き場所が決まっているものも多いが、同社独自の「おいシールド冷凍」はそんな面倒はなく、冷凍室に入れるだけで霜付きが抑えられる。入れ替えなくても、自動で冷蔵庫側が美味しく冷凍してくれるのは嬉しい。色も変わらず、解凍後はドリップが少しだけ出ているものの、鮮度はよかった。

Point ④「使いやすさ」

「見える野菜室」が便利。冷蔵室の扉を開けると、手前の底部分が透明になっている。冷蔵室を開けたら冷蔵室と野菜室を見渡せるため、野菜のストック状況がすぐわかるので野菜室の開閉回数が減少。開閉を減らすことで野菜室の温度が上昇する回数も減り、節電にもつながる。ただ、曇ってしまうのでそのあたりは改善してほしい。

Point ⑤「お手入れのしやすさ」

グレー色の内装は高級感はあるが、ホワイトと比較すると汚れを見つけにくい場合も。表面はフロストガラスで指紋などがつきにくく、いつでも清潔感がある。引き出しの取っ手部分は溝が浅く、端がなだらかなカーブなので拭きやすい。

Point ⑥「オリジナル機能」

冷蔵室は、天面と背面のツインパネル照明が搭載されているので明るく食材を照らす。ワインセラーのような高級感で、食材を美しく演出してくれる。一升瓶が収まる可変ドアポケットを採用しているので、日本酒好きの方でも安心して使える。

使っていて楽しくなる美しさを兼ね備えた冷蔵庫

他社にはない機能が豊富で、デザインもスタイリッシュ。ユニークで実用的な冷蔵庫だ。今回、試した中で特に優秀だったのは冷凍の鮮度保持能力。取扱説明書を読まなければ、美味しく冷凍できないというモデルも多い中、冷凍室に入れておくだけで鮮度が保たれる。1ヶ月冷凍しておいたお肉も霜付きが抑えられており、変色もほぼなく、しっとりした状態だった。

野菜はパプリカや椎茸といった小物(上段)では少し乾燥したものの、葉物はうるおいたっぷりのまま。ただ、少々気になったのは野菜室の奥行が狭いこと。他社と比較するとキャベツや白菜といった丸ごと野菜を入れるとすぐに一杯になってしまう。奥行をもう少し広くしてほしい。

冷蔵室扉の下部にある「LEDステータスバー」は便利だった。人感センサーが周囲の動きを感知すると、運転状況を色で知らせてくれる。通常は青で、半ドアだとオレンジ、製氷機の給水タンクが空になると黄色になるなど、全7色で状況がわかる。一般的な冷蔵庫はエラーなどを音で知らせるが、これなら視覚的にも冷蔵庫の状態を確認できる。

アクアの家電全般に言えることだが、Wi-Fi対応していないのは残念なところ。今回お借りした他社ではすべて対応していた。それぞれ冷蔵庫の機能を活用できるようになっており、改めてAIによる省エネや便利さを実感したところだ。ぜひWi-Fi対応を期待したい。

SPEC
定格内容積:501L
本体サイズ:幅700×奥行667×高さ1850mm
質量(約):約129kg
年間消費電力量:276kWh/年
実勢価格:28万6000円

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家電プロレビュアー
石井和美

家電をレビューするため「家電ラボ」を開設、小物家電から冷蔵庫や洗濯機などの大型家電のテストも行っている。製品レビューや家電についての解説はWEB、雑誌、ラジオ、テレビなどで発信している。ライター、家電コメンテーター、家電コンサルタント。
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